スマホとアンテナで建設現場をcm単位で点群データ化 国交省の要領にも準じた「PIX4Dcatch RTK」:Japan Drone 2024(2/2 ページ)
膨大な「点」の集合体で構成される点群データは、測量や建築の手法を変革するポテンシャルを持っている。しかし、ファーストステップとなるデータ取得のハードルが高く、なかなか参入に踏み切れない建設会社は多い。ドローンを飛ばすには資格を持った操縦者が必要だし、まともに使えるまでのデータ処理にはオルソ化などの専門知識と高性能PCも必要だ。Pix4Dが提案する新しい測量方法「PIX4Dcatch RTK」は、そうした悩みを抱えるユーザーでもスマホで手軽に使える3D点群データ化のソリューションだ。
高精度の点群データを手軽に生成できるのが利点
点群データは、3Dデータによるシミュレーションから施設点検による履歴の記録まで、さまざまな領域で活用されている。そこで重要なのは、いかにして現場の情報を高い精度でデータ化することだ。土地や対象物の情報を正しくデータ化できないと、その後の処理で修正が必要になり、精度が担保できず整合性が合わなくなる。
一般的に点群データの取得には、“3Dレーザースキャナー”を使う方法が知られている。しかし、点群取得用の3Dレーザースキャナーは高価で手が出しにくい。さらに、細かく正確なデータを取得できるスキャナーは大型で重いことが多く扱いずらかった。Pix4Dが訴求するモバイル端末とRTK roverの組み合わせであれば、こうした問題が一気に解決する。
Pix4Dの新しい3D測量の手法では、モバイル端末で撮影した複数の静止画から点群データを生成できるので、撮影時に高価なレーザー3Dスキャナーは必要ない。iPhoneやiPadなどで撮影した画像には、RTK roverで正確な位置情報が付与されるので、3Dデータ化してもBIM、CAD、GISなどでの広い活用が可能になる。
PIX4Dcatchがモバイル端末アプリなことのメリットとしては、壁面や法面、橋梁(きょうりょう)の下などドローンではデータ取得できにくかった箇所でも、正確にデータを得られることが挙げられる。
今回、採り上げたPIX4DcatchとviDoc製RTK roverの組み合わせに加え、クラウドやデータ処理のアプリを含む一連の製品群は、技術名称で「モバイル端末による3次元計測ソリューションPIX4Dシリーズ」として国土交通省の「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録されている。国交省が定める出来形管理要領の「土工編」と「小規模土工編」にも準拠し、利用者は工事成績評定の加点や総合評価方式で入札時に評価対象となる。
また、PiX4Dの製品群には、モバイル端末やレーザースキャナーだけでなく、ドローンで取得した画像の3Dデータ化にも対応しているものもある。例えば「PIX4Dmapper」は、プロ仕様のドローンマッピングにも応じた写真測量ソフトウェアで、ドローンが上空から撮影した数千枚もの画像でも、点群や高さ情報を含む数値表層モデル(DSM:Digital Surface Model)、ゆがみが補正された写真のオルソモザイクに素早く処理する。
【訂正】記事の初出時に、PIX4DcatchやRTK-GNSSの表記などに誤りがあった箇所があったため、訂正しています(2024年8月23日10時33分)。
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