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LED照明を他店舗でリユースできるか パナソニックが札幌で資源循環型ビジネスモデルに挑むLED(3/5 ページ)

パナソニック エレクトリックワークス社は、デジタル技術を活用したLED照明器具のリユース(再利用)に取り組んでいる。2025年度の事業化を目指し、事業モデルの構築を進める。

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2種類のシナリオで事業を評価

 パナソニック エレクトリックワークス社では、事業の効果を総合的に検証するため、LED照明器具をリユースせずに廃棄する「通常時(ベースライン)」のシナリオと、店舗Aで5年間使用したLED照明器具を、蛍光灯器具を使用中の店舗Bに移設する「資源循環型ビジネスモデル」のシナリオを比較して評価を行った。

 前提条件として、LED照明器具の運用期間は、日本照明器具工業会が示す適正交換時期8〜10年を踏まえた10年間を設定、1日15時間、年間5475時間の点灯を想定した。照明器具は、通常時のシナリオでは汎用型LED照明器具(31.9W、光源寿命7年)、資源循環型ビジネスモデルのシナリオでは長寿命型LED照明器具(17.9W、同10年)を使用するとした。蛍光灯器具(2灯)はいずれのシナリオでも66W、光源寿命2.2年。

 阿部氏はシナリオの設定について「10年の運用期間で効率よくリユースするためには、LED照明を2店舗で5年ずつ使用する形が最適だ。汎用型LED照明の寿命は7年だが、投入電力を下げた長寿命型であれば、消費電力の差でランニングコストも削減できる。汎用型よりも照度は下がるが、店舗ほどの明るさを必要としないバックヤードでリユースする際は有効だと考えた」と解説した。

 また、ライフサイクルアセスメント(LCA)の考えに基づいてCO2排出量や資源/廃棄物に関する評価を行うために、原料調達から廃棄に至るまでの33項目についても検査し、ビジネスモデルを評価した。

上段が従来の事業フローで下段が今回の検証結果
上段が従来の事業フローで下段が今回の検証結果 提供:パナソニック エレクトリックワークス社

 シナリオに基づく効果検証の結果、資源循環型ビジネスモデルでは、資源の新規投入量で35.5%、廃棄物排出量で37.9%の削減効果がみられ、CO2排出量はライフサイクル全体で55.4%の削減効果があると試算した。

 事業面の評価では、LED照明器具の初期導入コストと使用済み器具の廃棄コストの削減により、ユーザー側で26.56万円の費用削減が見込まれるとともに、事業運営側の追加コストも0.27万円にとどまった。事業運営側の追加コストよりもユーザーのコスト削減効果が高いため、阿部氏は「コスト削減効果と追加コストとのバランスを踏まえて、資源循環型サービスの事業可能性が示唆されたと考えている」と報告した。

ALTALT 環境面の効果(総合評価)。資源循環面(左)と脱炭素面(右) 提供:パナソニック エレクトリックワークス社
ALTALT 経済面の効果(総合評価)。事業性の判断(左)と、ユーザーにおける同サービスの効果(右) 提供:パナソニック エレクトリックワークス社

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