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LED照明を他店舗でリユースできるか パナソニックが札幌で資源循環型ビジネスモデルに挑むLED(2/5 ページ)

パナソニック エレクトリックワークス社は、デジタル技術を活用したLED照明器具のリユース(再利用)に取り組んでいる。2025年度の事業化を目指し、事業モデルの構築を進める。

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リニア型から資源循環へ ビジネスモデルを転換

今回の実証範囲
今回の実証範囲 提供:パナソニック エレクトリックワークス社
パナソニック エレクトリックワークス社 企画推進部主管 阿部益巳氏
パナソニック エレクトリックワークス社 企画推進部主管 阿部益巳氏 筆者撮影

 実証事業の説明には、パナソニック エレクトリックワークス社 企画推進部主管 阿部益巳氏が登壇した。企画推進部はライティング事業部直轄の組織として2024年4月に新設され、環境サステナビリティ戦略とサービス型事業モデルの開発を事業部横断的かつ先行的に進めていく役割を担う。

 今回の資源循環型ビジネスモデル開発にあたって、パナソニック エレクトリックワークス社では、「モノを長く使う仕組み作り」と「循環型モノづくりの強化」の2点を重点に置き取り組みを進めてきたという。阿部氏は「モノを長く使うことは重要だが、製品や部品は最終的に寿命を迎える。寿命を迎えた製品を再資源化して素材として製造工場に戻す仕組みや、再生素材を使いこなす生産技術があるかどうかも、資源循環型ビジネスを進めていく上でのポイントだ」と話す。

 なお、実証で使用した照明器具は、パナソニック エレクトリックワークス社製の一体型LEDベースライト「iDシリーズ」だ。iDシリーズは2022年の発売から10年以上が経過し、これまで約5000万台を出荷。一体型ベースライトとして市場シェアは約5割を占める。阿部氏は「iDシリーズは、従来のリニア(直線)型ビジネスモデルにおいて、大量生産、大量廃棄のモデルの代表だと言っても過言ではない。今回の実証事業は、LED照明器具リユースの取り組みを通して、当社のビジネスが資源循環型モデルへ転換していくというメッセージを込めた活動でもある」と強調した。

対象の照明器具は、照明分野の2Rビジネス (リユース、リサイクル) の一般化を図るためパナソニックの代表的な照明器具とした
対象のLED照明器具は、照明分野の2Rビジネス (リユース、リサイクル) の一般化を図るためパナソニックの代表的な照明器具とした 提供:パナソニック エレクトリックワークス社

 また、今回の実証の大きな特徴が、環境面と併せて事業面での評価を行った点だ。阿部氏によると「サーキュラーエコノミーの取り組みでは、資源循環そのものが目的になっているケースが多く、普及に必要な経済面の検討が十分になされていないことを課題として捉えていた。当社が資源循環型ビジネスモデルを開発するにあたっては、技術開発者、運営企業、ユーザーのそれぞれが有益になるような『三方良し』の考え方をベースに仕組み作りを行った」という。実証には4社の実証パートナーと6社の協力企業の協力が参加し「各分野のプロフェッショナルの方々を巻き込んだことで、比較的短期間で効率的に成果を出すことができたと考えている」(阿部氏)と述べた。

 なお、実証パートナーは、オリックス環境、コープさっぽろ、PwCコンサルティング、みずほリサーチ&テクノロジーズ。協力企業は、東京製鐵、日本通運、ビザスク、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス、三井物産、三菱ケミカル。

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