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改正建設業法/入契法が成立 建設業の担い手確保へ、賃金引き上げやICT活用強化産業動向(1/2 ページ)

建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の改正案が、参議院本会議で可決、成立した。人手不足が深刻化する建設業での担い手確保を目的に、賃金引上げなど労働者の処遇改善を図るため、適正な労務費の確保やICT活用による生産性向上を進める。法改正により、2024〜2029年度に全産業を上回る賃金上昇率の達成と、2029年度までに技能者/技術者の週休2日を原則100%達成することを目指す。

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 建設業の担い手確保を目的とした、建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の改正案が2024年6月7日、参議院本会議で過半数の賛成を得て可決、成立した。改正法では、労働者の処遇改善に向けた賃金原資を確保するため、著しく低い労務費などによる見積もりを禁止する他、ICT活用の環境を整備することで建設現場の生産性向上を促進する。

 国土交通省は法改正により、2024年〜2029年度に全産業を上回る賃金上昇率の達成と、2029年度までに技能者/技術者の週休2日を原則100%達成することを目指す。

改正法、3つのポイント

 改正法には、(1)労働者の処遇改善のための賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、(2)資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、(3)働き方改革や現場の生産性向上の、3点に関する対策を盛り込んだ。原価に満たない請負代金や著しく短い工期による請負契約の締結を、受注者である建設業者に対しても禁止する。また、適正な施工確保のために必要なICT活用に関する指針を国土交通省が策定する他、監理技術者などの専任に関する規制や公共工事発注者への施工台帳の提出に関する規制についても合理化などの措置を講じる。

 建設業は他産業と比較して賃金が低く、労働時間も長いことから、若年層の入職や定着が進まず、担い手の確保が困難な状況に直面している。厚生労働省の2022年度の調査によると、全産業における生産労働者の賃金494万円/年に対し、建設業は15.6%低い417万円/年だった。一方で労働時間は全産業の1954時間/年に対し、建設業は2022時間/年と3.5%長かった。建設就業者の全産業に占める割合は、1997年の10.4%(685万人)に対し、2022年には7.1%(479万人)と3.3ポイント減少し、就業者数はこの25年で206万人減っている。

 建設業はインフラの整備や維持管理などを支え、災害時の復旧などを担う「地域の守り手」の役割を担う。2024年4月から始まった時間外労働規制にも対応しながら、処遇改善や働き方改革、生産性向上に取り組むことで、担い手を確保し、持続可能な建設業を目指す。

法改正の背景
法改正の背景 出典:国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案 概要」

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