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AIの橋梁診断で人手や予算の限られた自治体でも定期点検を支援、BIPROGY:スマートメンテナンス
BIPROGYは、AI橋梁診断支援システム「Dr.Bridge」で自治体の小規模橋梁点検を支援している。現場の点検写真と諸元データを用い、AIが橋梁の劣化要因や健全度を判定する。
BIPROGYは2024年4月24日、AI橋梁(きょうりょう)診断支援システム「Dr.Bridge」で自治体の小規模橋梁点検を支援していると発表した。
クラウドアプリで、人手や予算の限られた自治体でも高精度な橋梁点検が実現
Dr.Bridgeは、AIが橋梁の劣化要因や健全度を判定する点検用システムで、日本海コンサルタントと共同開発し、2020年6月に提供を開始した。劣化判断には、現場の点検写真と橋梁の部材やひび幅といった諸元データを組み合わせ、深層学習する独自の特許技術を用いている。
定型の調書出力も可能で、2024年夏には、同年度に改訂した国土交通省の「道路橋定期点検要領」に対応した調書作成機能も追加する予定だ。
自治体が主に管理している橋長5メートル以下の小規模橋梁は、保有する橋梁の多くを占めているものの、ドローンや新技術の活用が進んでいない。加えて、熟練技術者の承継者不足や人手不足も課題となっている。
そこでBIPROGYは、人手や予算に制約がある自治体も対象とし、より使いやすさを重視し、クラウドサービスとして利用できるシステムの導入を進めている。
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