建材トップランナー制度の対象が拡大、大型建築物などのサッシ・複層ガラスも対象に:第17回「建築材料等判断基準WG」(4/4 ページ)
高機能な建材の普及を目的に、省エネ法のもとで運用されている「建材トップランナー制度」。政府では今後、中高層住宅・大中規模建築物用のサッシ・複層ガラスを建材についても、トップランナー制度の対象としていく方針だ。
中高層住宅・大中規模建築物 TR対象複層ガラスの区分(市場カテゴリー)
中高層住宅・大中規模建築物(その他建築物等)用複層ガラスの建材トップランナー制度においては、「戸建・低層共同住宅等」用との重複を避け、「一般複層ガラス(Low-E膜を塗布・蒸着していないガラスのみを使用)」、「Low-E複層ガラス(Low-E膜を塗布・蒸着したガラスを使用)」、「不活性ガス入りLow-E複層ガラス」の3種類を対象とする。
また先述の図2と同じく、より高性能な製品区分への移行を促すため、複層ガラスにおいても、これら3種類の製品を同一区分として取り扱い、一つの目標基準値を定めることとする。「その他建築物等」用複層ガラスの性能値改善に当たっては、以下のような2タイプの移行を促進することとする。
- 一般複層ガラスからLow-E複層ガラスへの移行
- 中空層のより厚い製品への移行
なお、「その他建築物等」用複層ガラスはほぼすべてがオーダー品であり、全ての出荷製品の性能値を個別計算することが難しいため、建築研究所公表の「ガラス建築確認記号」に基づいて、性能値を算定することとする。「その他建築物等」用複層ガラスのUg値(ガラス中央部の熱貫流率)実績値(2022年度)は、2.43[W/(m2・K)]である。
「その他建築物等」用複層ガラスのガラス種類別、中空層厚み別の出荷シェアと性能値の加重平均値(2022年度)は表6のとおりである。
複層ガラスの目標基準値設定において、サッシの目標基準値と整合を取るためには、2030年時点で想定されるサッシの溝幅別の出荷比率データが必要となるが、先述したとおり、現時点、このようなデータは整備されていない。よって、「その他建築物等」用複層ガラスについては、サッシの建物用途別出荷データの収集が出来た時点で、目標基準値を設定することとする。
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