スポーツ観戦の距離を超え選手と観客を音声でつなぐ、パナソニック EW社の「チアホン」:FM(2/2 ページ)
新型コロナウイルスの5類移行を受け、スポーツイベントの客足回復が進んでいる。イベント自体の面白さはもちろん、リアル観戦にしかない選手たちの戦う姿に心を動かされる人々は多い。そうした中、試合中に選手と観客をダイレクトでつなぐツールとして導入されつつあるのが、観戦時の音声配信クラウドサービス「CHEERPHONE(チアホン)」だ。
従来の実況とは大きく異なる点は、応援チームにフォーカスを当てた解説が聞けるため、利用者のアンケートからは「チーム寄りの解説が楽しい」「チームに長年いる人の解説は、愛と思い出が盛り込まれていてうれしい」と好評だ。数字の上でも「観戦が楽しくなった」との回答が9割となるなど、反響は大きい。
多分野のスポーツでCHEERPHONE導入が加速、来場リピート率3割増
スポーツ事業者にとっても、初期投資が要らず、導入へのハードルの小さい点がメリットとなり、さまざまなジャンルで普及が進んでいる。
配信上でチームロゴやチームカラーを表示したり、視聴者の客層などに併せて多チャンネル配信もできたりなど、ファン目線に立った配信環境が容易に整備できる。また、視聴者数といった反響の確認も可能で、GPS機能を使えば視聴エリアを区切るなどの管理もしやすい。
2022年に有償サービスを開始して以降、利用事業者数は40社を超え、配信実施件数も野球やサッカー、ゴルフ、サイクルレース、フィギュアスケートなど多岐にわたり、125件に上る。
プロサッカーチーム関係者からは、「試合中だけでなく、その前後も観客とコミュニケーションがとれ、インタラクション(交流)の機会となっている。CHEERPHONEがあれば100倍試合を楽しめる」と高評価。解説者として参加した元アスリートも、「海外では会場全体でエンタテイメント化している傾向が根強い」と指摘し、「CHEERPHONEがあれば日本でも多くの人に会場で観戦したいと思ってもらえるはず」と期待を寄せる。数字の上からも導入効果は大きく、継続してツールを使うことで、来場客のリピートが増えたとする声が3割増えたという。
今後、パナソニック エレクトリックワークス社はスポーツだけでなく、エンタテイメントや祭り、観光地の音声ガイドといった異分野への進出や海外展開などを見据えており、多様なサービス展開で観,i戦体験の楽しさをさらに普及させていく。
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