気象庁の震動予測情報を活用したエレベーター制御を三菱地所が丸の内で導入 閉じ込め事故を防止:BCP
三菱地所は、気象庁の「長周期地震動の予測情報」を活用したエレベーター制御システムを丸の内エリアの複数のビルに今春から順次導入する。長周期地震動の予測を利用したエレベーター制御システムの運用は国内初だという。
三菱地所は、気象庁の「長周期地震動の予測情報」を活用したエレベーター制御システムを、丸の内エリアの複数のビルに今春から順次導入することを発表した。長周期地震動の予測を利用したエレベーター制御システムの運用は国内初だという。
地震によるエレベーター閉じ込め事故を防止
三菱地所のビルは、震度7クラスの極大地震でも継続して在館可能な性能となっているが、エレベーターの閉じ込め事故の未然防止を目的に、2017年にミエルカ防災が開発した「ユレーマス」を採用。既に、測定した地震情報を設置施設間で共有する直下型地震情報伝達ネットワークを構築している。
今回、気象庁の「長周期地震動の予測情報」を連動することで、長周期管制運転未導入のエレベーターにおいても、エレベーター改修工事をせずに長周期地震動の対策が可能となった。
具体的には、気象庁から緊急地震速報として配信される長周期地震動の予測情報をもとに、ユレーマスで長周期地震動の影響を大きく受ける建物を判別し、該当建物へ制御信号を発報し、エレベーター制御と連動させる。長周期地震動が到達する前に、エレベーターを最寄階停止させて、閉じ込め事故を防ぐ。
長周期地震動は短い周期の波に比べ、減衰しにくく遠くまで伝わる。建物には固有の揺れやすい周期があり、特に高層ビルは低い建物に比べると長周期地震動と共振しやすく、共振すると高層ビルは長時間にわたり大きく揺れる。
気象庁によると2011年の「東北地方太平洋沖地震」では、震源から約700キロ離れた大阪市内の高層ビルでも、長周期地震動による破損やエレベーター閉じ込め事故が確認された。被害を踏まえ、気象庁は2023年2月1日より「緊急地震速報」に「長周期地震動」を追加して提供している。
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