日本における“循環型まちづくり”の姿を移動型施設や循環車などの展示で訴求:日蘭アップサイクル建築・まちづくり展(2/3 ページ)
リスペクトでつながる「共生アップサイクル社会」共創拠点 アップサイクル都市モデル分科会は、駐日オランダ王国大使館で「日蘭アップサイクル建築・まちづくり展」(会期:2024年3月5〜6日)を開催した。分科会の活動内容の紹介や“循環型まちづくり”に関する各種展示が行われた。
資源循環のハブとなる移動型資源回収施設「ゼロウェイステーション」
今回の展示会の目玉は、2024年夏に製作予定のゼロウェイステーションの模型と、ゼロウェイステーションの壁面や屋根を構成する各種パネルやフレームのモックアップだ。
ゼロウェイステーションとは、市民一人一人が暮らしの中で出てきたリサイクル可能な資源を持ち寄り、循環者となるための拠点的な役割を担う移動型の資源回収施設(仮設スペース)だ。地域の各拠点に設置され、資源循環のハブとして機能することを狙う。また、ゼロウェイステーションそのものが市民から寄せられた資源を基に、市民の手によって作られることでアップサイクルを体現する役目を果たす。こちらのイメージも慶應義塾大学SFC研究所と大成建設によるコンセプト動画で分かりやすくまとまっている。
ゼロウェイステーションの最大の特徴は、モジュール化された壁面や屋根などを採用している点だ。壁面は「Detachable Wall」と呼ばれるパネル単位で自在に着脱できる壁を採用しており、回収した資源から生み出されたさまざまなパネルを取り付けられる。壁面用のパネルは1枚当たり400×400mmのサイズを最小単位とし、1枚当たりの重さは最大で5kg程度を想定。Detachable Wallを支えるスケルトンフレームは地域から回収された古材を利用することを視野に入れている。
Detachable Wallを構成するアルミニウム(以下、アルミ)の押出材で製作されたフレームとパネルはYKK APが手掛けた。「フレームは縦材と横材で構成されており、パネルの枠の上部にある溝を横材の棒に引っ掛けてつるすような構造を採用し、パネルを簡単に着脱できる仕組みだ。取り付け後は、裏側を留め具で固定するので簡単に外れることはない」(説明員)。なお、フレームの縦材と横材の接合には通常ステンレス製のねじが用いられるが異種金属となりリサイクルに適さないため、アルミニウム同士の接合に適した摩擦撹拌(かくはん)接合で固定しているという。また、パネルの枠に関しても、分解と再装着可能な構造(カシメ接合)を採用しており、パネル自体の交換も容易に行える。
YKK APではDetachable Wallの他にも、再生材が活用でき、材料ロスが少ない3Dプリンタによる、「防ぐ」と「取り込む」を実現する多機能パネル2種類を製作。1つは光と風を取り込みながら外からの視線などを防ぐことができる4層構造が特徴のパネルだ。「多層構造なので強度も高く、飛来物などがぶつかっても壊れにくい」(説明員)。もう1つは、横の積層方向で作った面と縦の積層方向で作った面を組み合わせることで、日差しのまぶしさを防ぎながら、日射を拡散して光を取り込んでくれるパネルだ。
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