2024年度は「デジタル技術による人手不足支援と建物の脱炭素」に注力 ジョンソンコントロールズ:BAS(2/2 ページ)
ジョンソンコントロールズは2024年度、デジタル技術を活用した人手不足への支援、建物の脱炭素化支援などを加速する。業務の効率化や自動化の先にある「自律的に進化するビル」の実現に向けた取り組みを、代表取締役社長 吉田浩氏が語った。
コアビジネスとデジタル技術の活用で建物の脱炭素化を支援
ジョンソンコントロールズは2024年度の事業戦略に、(1)コアビジネスとデジタル技術による建物の脱炭素化支援、(2)デジタル技術の活用による人材不足支援、(3)グローバルリーダーシップを生かしたデジタルインフラ整備の支援、(4)働きやすい職場づくりと人材育成、の4つを掲げた。
吉田氏は「現在、我々のコアビジネスであるビルの中央監視、自動監視制御システムに対する社会的ニーズがこれまで以上に高まっている」と強調する。
その要因の1つが、世界的な脱炭素化とサステナビリティの取り組みの加速と、これに伴うESG投資の拡大だ。ジョンソンコントロールズでは国内で50年以上にわたり、自動制御の設計・施工からサービスまで一貫して提供してきた。その中で、エネルギー消費量削減の取り組みなどを通して、企業の脱炭素化支援にも取り組んでいる。ジョンソンコントロールズインターナショナルの2021年の会計年度では、環境負荷低減に貢献する製品やソリューションが売り上げ全体の54%を占め、半数を超えた。
「世界の炭素排出量の約4割、東京都のCO2排出量の約7割が建物でのエネルギー使用に起因するとされ、都は2025年度までに大規模事業所に課すCO2削減義務を50%に引き上げることを表明している。企業側に求められる脱炭素対策の範囲が広がることで、対応するソリューションの需要も高まっていくと見ている。当社では、社会課題の解決を実現するための事業としてコアビジネスがあると考えている」(吉田氏)。
吉田氏は「複合施設やオフィスビル、病院は、得意とする垂直市場として引き続き注力する。また、工場の国内回帰に伴う建設投資も増加傾向にある。製造現場は施設の排出量削減に積極的で、ニーズの高い市場と見て、最適化したソリューションベースのサービスを検討中だ」と話した。
さらに、脱炭素の潮流が拡大していることを受け「今後、エネルギー使用量や排出量データを正確に管理し、進捗をビル単位、企業単位で管理していく必要がある。その中でOpenBlueテクノロジーが非常に大きな役割を果たすと考えている」(吉田氏)として、日本企業の海外拠点を含む企業単位での排出量を把握する「ネットゼロ・アズ・ア・サービス」の提供を進めると語った。さらに、二国間クレジット制度などの補助金の活用支援も手掛け、日本の削減目標への達成に貢献していく。
データセンター事業を強化、拡大
ジョンソンコントロールズは2023年10月に、全国のデータセンターの設備設計、施工の専門家を集結し「データセンター事業部」を設立した。「24時間の安定稼働が求められるデータセンターにとって、当社の中央監視と制御技術は重要な役割を占める」(吉田氏)と説明し、データセンター事業事業を拡大していくと述べた。大規模施設向けのYORKチラーも出荷する他、建設プロジェクト内の通信インフラの構築とシステム統合をまとめて引き受ける「テクノロジーコントラクティング」の受注携帯でワンストップでのサービスを提供する。グローバルの顧客に対応し、オーナーから直接指名されるパートナーを目指す。
働きやすい職場づくりと人材育成については、組織と個人双方の継続的な成長を実現する強い組織を目指していく。自社版ChatGPT(myAI)導入などのデジタル活用を進める他、社内MBAや海外研修を復活させるなど人材育成に積極的に投資する。
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