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市区町村の公共工事、週休2日制はいまだ2割 国交省が23年度の入札適正化状況を公表:産業動向(2/2 ページ)
国土交通省と総務省は、公共工事における入札契約適正化の取り組み状況を公表した。週休2日制工事を導入する団体は増加傾向にあるが、市区町村では、工期設定の際に休日を考慮している団体は約6割、週休2日または週休2日交替制のいずれかを実施する団体は2割程度にとどまるなど、取り組みに遅れが見られた。
ダンピング対策や価格転嫁も進展
ダンピング対策では、国と特殊法人などの100%で低入札価格調査制度を導入、また、都道府県と政令指定都市の100%、市区町村の95.8%で、低入札価格調査制度または最低制限価格制度のいずれかを導入済みだった。2つを併用する団体は、都道府県は93.6%、政令指定都市は100%、市区町村は43.1%。
低入札価格調査基準価格の算定式については、各団体で最新の中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルや、それ以上の水準の独自モデルが使用されていることが分かった。
また、工事契約締結後に、賃金や物価の水準が一定割合を超えて変動した場合などに円滑な価格転嫁を図るための「スライド条項」については、都道府県と政令指定都市では100%、取り組みが遅れている市区町村でも4割を上回る自治体で、運用基準を策定していた。
電子契約システムの導入は国以外で進まず
電子入札システムは、都道府県と政令指定都市の100%、国は94.7%、特殊法人などは86.8%、市区町村は47.6%で本格導入していた。一方で、電子契約システムの本格導入は、国で7割を超えた以外は、特殊法人などで11.6%、都道府県で14.9%、政令指定都市で15%、市区町村で4%にとどまっている。
2023年度「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等に基づく入札・契約手続に関する実態調査」
調査対象時点
- 2023年7月1日(工事契約実績などについては2022年度の実績)
調査対象
- 国(省庁など):19機関
- 特殊法人など:121法人
- 地方公共団体:47都道府県、20政令指定都市、政令指定都市を除く1721市区町村
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