バイオ炭でカーボンネガティブを実現、脱炭素アスファルト舗装の共同開発に着手:新建材
清水建設と日本道路は、CO2固定効果のある森林資源由来のバイオ炭を用い、アスファルト合材に炭素を貯留する脱炭素アスファルト舗装技術の共同開発に着手した。カーボンニュートラル、さらには、カーボンネガティブを実現するアスファルト舗装材の実用化を目指す。
清水建設と日本道路は、CO2固定効果のある森林資源由来のバイオ炭を用い、アスファルト合材に炭素を貯留する脱炭素アスファルト舗装技術の共同開発に着手した。
今回の開発では、清水建設の建材へのバイオ炭の混合ノウハウと日本道路のアスファルト合材の製造技術を融合。製造過程で生じるCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルと、CO2の固定量が排出量を上回るカーボンネガティブを実現するアスファルト舗装材の実用化を目指す。
低炭素・脱炭素化に向けた動きが広がる中、アスファルト舗装分野では、アスファルト合材の製造過程で消費するエネルギー量の削減や使用エネルギーの低炭素化などの取り組みが進められている。具体的には、ボイラ・バーナ類のエネルギー効率改善や、CO2排出量の少ないバイオマス燃料の活用のほか、材料の混合温度を低下させて燃料消費量を削減する中温化技術が開発・実用化されているが、これらのCO2削減効果は15〜20%程度だ。
同技術開発では、オガ粉を原料とするバイオ炭であるオガ炭を、アスファルト合材の砂あるいは石粉の代替材料として利用し、炭素を固定する。オガ炭は、炭素含有率、100年後の炭素残存率がともに約9割に達するCO2固定効果の高い炭化物で、1キログラム当たり2.3キログラムのCO2を吸収・固定する。粉状もしくは粒状にしたオガ炭を、アスファルト合材1トン当たり25キログラム以上混合することで、カーボンネガティブを実現できる見込みだ。
両社は今後、実証試験を通してバイオ炭を混合したアスファルト合材の施工性や耐久性を検証し、2023年度内をめどに道路舗装工事に実適用する考えだ。
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