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アメックス副社長が建設業界を独自分析(後編)―建設業務にカード決済がなぜ必要か?建設業のバックオフィスから考える2024年問題(2/3 ページ)

前編では建設・建築業界における経理業務の実態について、アメリカン・エキスプレスが2023年4月に実施した調査結果から、業界の現状やクレジットカード決済の利用状況などの調査結果を紹介しました。後編となる今回は、企業のキャッシュフロー管理やクレジットカード決済の利用希望の実態について調査結果を紹介していきます。

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クレジットカードは人材不足に貢献できるか?

 今後、支払にクレジットカード決済を利用したいニーズは58.3%と高く、現状の30.7%の約2倍です。


出典:アメリカン・エキスプレス「建設・建築業界における企業間決済調査」

 既にクレジットカード決済を利用している回答者にメリットを聞いてみると、「ポイントが貯まる」が34.7%、「振込手数料を減らせる」が32.6%、「効率化される」が29.5%、「与信審査が不要になる」が13.7%との回答が得られており、利用していない回答者と比較しても、メリットと感じている回答者が多いことから、利用者ほどその効果を実感していると言えます。

 例えば、アメックスのカードを利用中の電気工事業会社では、以前から銀行振込を負担に感じており、資材の仕入れ先がクレジットカード決済の受け入れを始めたことをきっかけに、年に数回ある高額利用の仕入れも含めて、クレジットカードでの支払いを開始しています。今後は、「可能な限りクレジットカード決済を受けて入れている企業から、全ての資材を購入したい」との声もいただいています。

 また、調査結果の回答として挙げられてはいませんが、法人向けのクレジットカードは主要な会計ソフトとAPI連携していることが多く、自動で明細を会計ソフトに取り込むことも可能です。経理業務の効率化が急務だとを考えると、実は大きなメリットの一つになるでしょう。


出典:アメリカン・エキスプレス「建設・建築業界における企業間決済調査」

 クレジットカード決済の利用機会という観点では、毎月発生する通信費や水道光熱費には口座振替を利用し、ガソリン代やETCといった荷造運賃、接待交際費や宿泊/出張代にはクレジットカードと用途や場面に応じて決済方法を使い分けていることが分かります。

 また、電車やタクシーでも気軽にタッチ決済するため、SuicaやPayPayなど電子マネーをクレジットカードからチャージするといった利用もあり、こうした少額の小口決済でも、クレジットカードの明細を自動で取り込めるメリットは大きいと言えます。


出典:アメリカン・エキスプレス「建設・建築業界における企業間決済調査」

 しかし、仕入れ代など取引先との決済でクレジットカードを利用するケースはまだ少ない状況です。その理由は、取引先が請求にクレジットカード決済を受け入れていないためで、取引先が受け入れるのであればクレジットカード決済に変更したいという潜在的な需要は多いと予想されます。また、利用金額に応じてクレジットカードのポイントが付与されることも考えれば、今後は取引先との支払に利用したいと考える企業も多く、当社の顧客からもそういった要望をよく耳にします。

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