アメックス副社長が建設業界を独自分析(後編)―建設業務にカード決済がなぜ必要か?:建設業のバックオフィスから考える2024年問題(1/3 ページ)
前編では建設・建築業界における経理業務の実態について、アメリカン・エキスプレスが2023年4月に実施した調査結果から、業界の現状やクレジットカード決済の利用状況などの調査結果を紹介しました。後編となる今回は、企業のキャッシュフロー管理やクレジットカード決済の利用希望の実態について調査結果を紹介していきます。
キャッシュフロー管理が業務負担に
請求業務の課題としては、キャッシュフロー管理に関する課題が多く挙げられています。特に長期的な支払い期間によるキャッシュフローへの影響が39.5%、不透明なコミュニケーションによる支払い遅延(ツケ払い)が30.4%と、入金までの期間に関する不満が挙げられています。
一方、支払についても、「支払時期の重なり」や「大きな出費」による資金不足への不安が47.2%と2番目に多い回答として寄せられており、キャッシュフロー管理が請求/支払いに共通する課題となっていることが明らかとなっています。
キャッシュフローに大きく影響する代金の回収業務について、「請求から代金回収にかかる日数は?」と質問したところ、平均して最短で18.3日、最長で43.6日という結果となっています。
上記の日数は、あくまでも平均の日数であり、慣習によって手形や小切手による決済を利用している場合は、支払サイトが90日や120日と長期になることも珍しくありません。手形の支払サイトは、中小企業庁と公正取引委員会が連名で、可能な限り速やかに手形などのサイトを60日以内に短縮することを要請しており、その目途として2024年までの実施を求めています。こうした動きから、手形や小切手を廃止し、クレジットカード決済に舵を切る企業も増えていくことが予想されます。
なお、クレジットカード請求も利用しているという回答者は、最短10.1日、最長19.1日と、最長では手形や小切手に比べ、半分以下の日数で回収可能となり、支払い期間の短縮を実現しています。キャッシュフロー管理の観点から見ても、クレジット決済のメリットが表れています。
しかし、決済方法を変更することは容易ではなく、企業が決済方法を選択する理由として、銀行振込は「いつもこの方法だから」や「取引先にこの決済方法を求められるから」が主な回答となっており、積極的に決済手段を選択できる状況にはないようです。
一方、クレジットカード決済の選択理由としてもっとも多い回答は、「手間が少ないから」であり、本来は効率的な手段を優先して選択したいという意向もうかがえます。
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