映像制作からインフラ点検など産業用途の新たなフィールドへ ソニー製ドローン「Airpeak S1」の新機能:Japan Drone 2023(1/3 ページ)
新しいジンバルとバッテリー、GNSS-RTKキット、小型かつ高性能のLiDARセンサーがそろったソニーのプロフェッショナル向けドローン機体「Airpeak S1」。ソニーの強みでもあるデジタル一眼αシリーズなど映像機器と合わせ、産業用途でのシェア拡大を狙う。
ソニーグループ(以下、ソニー)は、「Japan Drone 2023|第8回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2023年6月26〜28日、千葉・幕張メッセ)に出展し、ドローン機体「Airpeak S1」の次の展開を示した。
新たな活躍の場となる次の“空”を見据える「Airpeak S1」
Airpeak S1は、2021年10月に販売したプロフェッショナル向けドローン。最大速度25メートル毎秒(ペイロードなし、障害物ブレーキ無効時)の卓越した運動性能と、最大風圧抵抗20メートル毎秒(ペイロードなし時)、飛行時突風耐性※15メートル毎秒を誇る安定性を有する。さらににソニーのフルサイズミラーレス一眼α(α7Rシリーズなど)を搭載可能という写真撮影の優位性などが支持され、主に映像制作の現場で利用が進んできた。
※ 飛行時突風耐性:直線飛行中に横からの突風を受けた際の移動量が1メートル以下の最大風速
ソニーが、Airpeak S1の次の活躍の場に選んだのは、インフラ点検などの産業用途だ。その理由についてブースの製品紹介担当者は、「ドローン市場を俯瞰してみると、産業用途が占める割合が大きい」と説明。そのため、「B2C分野で使いやすい仕様を整えて、Airpeak S1をさまざまな産業別で普及させていきたい」との意気込みを語った。
課題だった飛行時間の改善を実現
既に映像制作の現場で高い支持を得ているAirpeak S1だが、産業用途では、これまであまり利用が広がらなかった。製品紹介担当者はその理由を、飛行時間の短さにあると認める。「αシリーズを搭載した状態では、12分程度しか飛行できなかった。12分は、産業用途での利用を想定した場合、十分とはいえない」。そこで、ソニーが用意したのが、新しいジンバル「GBL-PX1」とバッテリーパック「LBP-HM1」だ。
「飛行時間を伸ばすために、ジンバルを軽量化した。これまでのGremsy製ジンバル『T3 for Airpeak(GBL-T3)』の重さは約1.1キロ(ダンパープレート、ケーブル装着時約1.4キロ)。新しいGBL-PX1は約563グラム(ダンパープレート、ケーブル装着時約823グラム)で、従来比のおよそ半分の軽量化を図った。
同時にバッテリーパックも、サイズはそのままで、従来の1.4倍に容量アップ。こうした機能改良で、αシリーズの「α7R IV」搭載時の飛行時間を約20分まで伸ばした」(製品紹介担当者)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.