人型ロボット+ドローンの一体型点検と、“蜂の巣”のような防水自動飛行システムを提案するJIW:Japan Drone 2023(2/2 ページ)
ジャパン・インフラ・ウェイマークは、2019年4月にNTT西日本100%子会社として設立したドローンによるインフラ点検を主事業とする企業。NTT西日本グループが培ってきた設備管理の実績をもとに、少子高齢化による人手不足と老朽化するインフラの維持管理の課題解決に取り組み、これまでに橋梁、鉄塔、法面、プラントなど、さまざまなインフラ点検で実績を重ねてきた。
屋外環境にも耐える“蜂の巣”を意味する完全自動飛行型の巡視ドローン
蜂の巣を想起させる特徴的な形をした「Sunflower Labs Beehive System」は、米Sunflower Labsの完全自動飛行/防水対応の巡視向けドローンシステム。JIWは、ドローンの“レベル4飛行解禁”で、今後、無人地帯や有人地帯でのドローンの目視外運用が進むことを見越し、2023年1月にSunflower Labsと代理店契約を締結し、Sunflower Labs Beehive Systemのレンタルサービスを開始した。
Sunflower Labs Beehive Systemの特徴は、遠隔操作による自動飛行が可能なことにある。Sunflower Labs製専用ソフトウェアに事前に飛行ルートを作成をすることで、遠隔地よりドローン(Bee:蜂)の自動飛行を開始し、設定したルート飛行後に専用のドローン充電器(Hive:蜂の巣)へ安全に着陸できる。これにより、作業現場へのドローンパイロットの派遣調整が必要なくなり、作業の効率化につながる公算だ。
優れた防水性能も持ち、雨、風、雪など、ほぼ全ての気象条件下での運用に応える。屋外での巡視作業や、鉄塔や建物外壁調査などへの活用が見込まれる。
機体上部のプロペラで自由自在に航行する水上ドローン
ブルーとイエローの小型ラジコンボートのような機体は、主に橋梁(溝橋)点検に使用する「全方向水面移動式ボート型ドローン」。機体上部に取り付けられたプロペラで、水上を前後だけでなく左右にも自在に動き回れる。
水中にスクリュープロペラがなく、上部の機構も高さを抑えられているため、水深が浅い所(イエローの機体の場合:水深10センチ以上)、桁下空間の狭い箇所(最小で横幅1.5メートル、高さ50センチ)にも進入する。備付けのカメラで、橋梁(溝橋)のひび割れ、剥離、鉄筋露出、漏水、遊離石灰、床版のひび割れなどを検出する。
ブルーの機体の船底には、ソナー端子が備わっており、音波の反射を利用して川底の洗掘(せんくつ:河岸や橋脚近くの川底の砂が水の流れや波で削られること)の程度やダム水面下の状態を観察できる。
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