“AI自律飛行”で建設特化のSkydio製ドローンは何が革新的なのか?センシンロボティクスとの実証から探る:ドローン(1/4 ページ)
AIによる自律飛行で、建設ドローンの可能性を広げているSkydio――。Skydioのドローンは、従来のマニュアル操作の機体と異なり、人の技量に頼らず、非GPS環境下で自律飛行して3Dモデルを作成できるため、ドローン業務の工程全体が効率化される。
AIによる自律飛行や障害物回避の機能を特長としたドローンを開発している米メーカーのSkydioは、パートナー企業のセンシンロボティクスと共同で2022年9月6日、神奈川県川崎市川崎区扇町にあるロボティクス関係の実証フィールド「ENEOSカワサキラボ」で、石油プラントの点検を想定したSkydio製ドローンのテスト飛行を行った。
今回のテストフィールドとなったENEOSカワサキラボは、ENEOSホールディングスとセンシンロボティクスがENEOS川崎事業所の敷地内にロボティクスのショーケース兼実証フィールドとして2021年11月に開設。少子高齢化に伴う労働人口の減少、インフラの老朽化といった社会課題に対し、点検、警備、災害対策などの分野で、ドローン(UAV)や無人走行車(UGV)を含むロボティクス技術で解決すべく、多様な共創パートナーと新たなサービス開発を行うオープンイノベーションの場と位置付けている。ラボ内には、稼働を停止したプラントの配管やタンクなどが点在し、実業務に近い環境で社会実装に向けた検証が行える。
今回のテスト飛行では、石油プラントのタンクを対象に、Skydio製ドローンの特徴となっている自律飛行と3Dスキャンに加え、センシンロボティクスのサービスの1つ3Dモデル化までのドローン点検業務を再現し、有効性を確かめた。
SkydioのルーツはMITでの自律ドローン技術の先端研究
Skydioは、マサチューセッツ工科大学 大学院でGPSに依存しない自律型ドローン技術の研究をしていた現CEOのアダム・ブライ(Adam Bry)氏と現CTOのアブラハム・バカラック(Abraham Bachrach)氏が、Googleのドローン配送プロジェクト「Project WingGPS」への参画を経て、2014年に米カリフォルニアで創業。2018年には最初の自社開発機体となる「Skydio R1」を発表し、AIによる自律運転という画期的な機能が話題となった。
2020年には、初の海外拠点として東京にオフィスを開業するとともに、合同会社で日本法人も設立。代表には、EMCジャパンのシニアアカウントマネジャーやAWSジャパンのエンタープライズ戦略営業本部長を歴任し、通信プラットフォーム「SORACOM」で知られるソラコムの立ち上げにも役員として関わった柿島英和氏が就任した。
これまでの販売実績は、グローバルで2万1000台以上の機体を出荷し、米国の建設会社「Sundt Construction」や貨物鉄道会社「BNSF鉄道」を筆頭に、600以上の企業や公共部門にユーザーがおり、世界最大級の家電/技術見本市「CES」の「2021 Best of Innovation」や米ビジネスコンサル「Frost&Sullivan」の「2021 Drone Company of the Year」に選出されるなど、10億米ドル超の企業価値があるドローン企業と高く評価されている。
国内では、センシンロボティクス、KDDIスマートドローン、ジャパン・インフラ・ウェイマーク、FLIGHTS、NTTドコモを販売代理店に、建設現場の巡回目的で大林組、吊(つ)り足場を設置して作業していた橋梁点検の代替として首都高技術などに導入されている。
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