ジョンソンコントロールズが新設した「データセンター戦略室」に聞く、過去2年で2倍の受注量となったDC建設/保守の強み:BAS(3/3 ページ)
ジョンソンコントロールズは、データセンター(DC)のビルオートメーションシステム(BAS)や自動制御設備の設計・施工を統括する「データセンター戦略室」を社内に新設した。省エネ、セキュリティ、BCPなど多様化する顧客の要望に対し、データセンターの基本機能を踏まえた上で、求められるサービスを効率よく提供することを目指す。
データセンターの改修も視野に
ジョンソンコントロールズの強みは、提案から設計・施工、その後の運用やメンテンスまで、一貫したワンストップ体制でサービス提供できる点にある。
データセンターの改修サイクルは、オフィスビルとはかなり違う。建物の耐用年数は10年ほどで、設備の進化も早い。しかし、データセンターは、「10年サイクルの修繕、電源設備、それより早いサイクルでサーバ設備の修繕/改修が発生する。逆に言えば、そのタイミングで当社が関わる機会があるので、オフィスとは違ったアプローチを検討していきたい」(吉田氏)。
ただ、現状で課題もある。人的なリソースが限られていることだ。ジョンソンコントロールズは、データセンター構築で顧客の“ファーストチョイス”になることが多く、人的リソースは逼迫状態にある。
ジョンソンコントロールズには現在、1300人ほどのスタッフがいるが、早急に人員を増やすことは現実的ではない。そこで、仕事の効率を上げることが必須となる。吉田氏は「新しいソリューションについて設計図の標準化を進めながら、各現場へ展開する方法で対応したい」と説明する。また、協力会社の拡大、現場の工事や施工管理に関しては他社との協業も探っている。現在、インドにある組織横断の取り組みの拠点となるCoE(Center of Excellence)で、設計やソフト開発を行っているが、さらに対象とする範囲を拡大する計画もある。
データセンター戦略室の今後の展開では、「開設後、6カ月以内にメンバーや課題、具体的な戦略などを検討しながら進めていきたい」(吉田氏)。設計の標準化とMetasysによる運用管理を強みにした独自のトータルソリューションで、省エネ、セキュリティ、BCPなどデータセンターに求められる多様化するニーズに応えていく。
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