鹿島建設が耐震と防振性能を併せ持つ天井デバイス「RESI-CUBE」を開発、王子ホールに採用:施工
鹿島建設は、音楽ホールなどの防振天井の耐震性を容易に向上させ、耐震と防振性能を併せ持つ天井デバイス「RESI-CUBE」を開発した。
鹿島建設は2023年6月13日、音楽ホールなどで採用されている防振天井の耐震性を容易に高めることができるデバイス「RESI-CUBE(レジキューブ)」を昭和サイエンスと共同開発したと発表した。
RESI-CUBEは、耐震と防振の性能を兼ね備え、これらが同時に求められる複合施設内の音楽ホールや体育館直下の講堂などの天井に、新築工事だけでなく、耐震改修工事にも採用できる。
ユニット化で、上部ボルトに天井用の鉄骨梁を固定するだけで設置完了
近年、地震による音楽ホールの天井落下事故の発生を受け、天井の耐震改修工事のニーズが高まっている。特に、複合施設内の音楽ホールは高い遮音性能が要求されるため、耐震改修工事では、天井の荷重を受ける鉄骨梁(小梁)の端部を防振ゴムで支え、その先を準構造天井(ぶどう棚)とする構成が多く採られている。この場合は、防振ゴムが音の振動伝達を抑制することで遮音性能は高まるが、地震時の水平方向の変位を拘束できないため、鉄骨梁の水平変位を拘束するストッパーなどの部材を取付けるなど複雑な工事が必要となる。
そこで鹿島建設は、従来の防振ゴムに代わる部材として、防振性能は損なわず、水平方向の動きを適度に拘束できる防振耐震デバイスとしてRESI-CUBEを開発した。
RESI-CUBEは、内部に丸型の防振ゴム、周辺部に防振性能を損なわないゴムパット付きのストッパーを配置。このストッパーが水平方向の動きを拘束するため、天井の耐震と防振性能を併せ持つ。
適用することで、従来の防振天井と遜色のない遮音性能を実現するとともに、特定天井(天井高さ6メートル、面積200平方メートル、質量2キロ/平方メートル)を超える吊天井としての耐震性能を有するものとして、日本建築センターの評定を取得することが可能だという。また、各部材をユニット化したため、上部のボルトに天井用の鉄骨梁を固定するだけで設置が完了する。
これまでにRESI-CUBEは、東京都中央区の王子ホールや神奈川県横浜市西区のみなとみらいホール小ホールなどの天井耐震改修工事に導入している。いずれのホールでも、改修工事完了後の測定では、新築時と同等の遮音性能を確保できていることを確認している。
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