大東建託が女性施工管理職向けの職種転換制度を導入、2028年度に女性施工管理職の比率を5%に:ダイバーシティー
大東建託は、女性施工管理職を対象に新たな職種転換制度を導入する。新制度では、産前産後休業/育児休業後の復職先を、工事課の事務職や設計課、積算課の3つから選択でき、長く働き続けられる職場環境を提供する。
大東建託は2023年4月1日から、建設工事の現場技術者を指揮監督し、安全・品質・工程・原価などの現場管理を行う施工管理に従事する女性社員向けに、妊娠や出産、子育てといったライフイベントに直面した際、一定の期間、希望の職種に転換できる新たな職種転換制度を導入する。
2028年度に女性施工管理職の比率で5%を目指す
新制度は、少しでも長く個々の能力を発揮し、成長し続けられる職場環境の提供を目的に創設。建築現場の施工管理を行う女性社員は、産前産後休業・育児休業後の復職先を工事課の危険を伴わない事務職や設計課、積算課の3つから選択できる。適用期間は復職から子どもが8歳になるまでの期間で、適用期間以降は施工管理職に復職するか、要員状況によっては設計職や積算職を継続することも可能だという。
国土交通省の建設業活動実態調査をもとに大東建託調べによると、施工管理職を含む技術職の男女比率は、男性が90%以上を占め、女性は10%以下。建設業界では担い手不足が懸念されていることもあり、性別を問わず働きやすい環境を整備することが求められている。そのため、国土交通省では、2014年から女性の入職促進や就業継続促進など、女性従事者を増やすためのさまざまな施策を展開している。女性技術者の割合は、徐々に上昇傾向にはあるものの、まだまだ低い水準で推移している。
大東建託では2022年7月、施工管理職の全女性社員へアンケートを実施したところ、施工管理の仕事を続けるうえで「ライフイベントと仕事の両立に対する不安がある」と答えた社員は65%に達することが判明した。また、8割近い女性社員が、妊娠や出産後の施工管理職への復職に不安があることも分かった。
同社で施工管理を行う女性社員の割合は、2023年1月時点で1.8%だが、2028年度までに5%まで引き上げることを目標に定めている。アンケート結果を踏まえ、新たに職種転換制度を導入することで、ライフイベントと仕事の両立に対する不安を軽減し、当社で長く継続して働ける環境づくりを推進するとしている。
他にも、女性施工管理職へのさまざまなサポート体制を敷いており、2015年からは地域や世代を超えた情報交換の場を設け、不安や悩みを互いに共有できるように、定期的に交流会や研修を実施している。今回の新人事制度も、定期交流会で出た意見がきっかけとなったという。
また、2016年からは、関東地区のハウスメーカーの女性技術者を中心に構成される業界横断プロジェクト「じゅうたく小町」へ参画。女性技術者が一堂に会し、女性活躍について意見交換を行うなど、社外技術者との交流を深めている。活動を通じ、男女共に快適に使用できる仮設トイレの試行運用など、建築現場の環境改善も提案している。
さらに復職にあたってのサポート制度では、女性施工管理職を含む技術職の女性社員は、育児休業後の原則1カ月間、テレワークによる短縮勤務を認める「ならし就業」制度を利用できる。その間に、業務の感覚を取り戻し、スムーズに職場復帰を実現するために採用された制度で、1日の就業時間は3時間から選択できる他、週の就業日数も3〜5日の間で選べる。
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