現場作業員の「集中力低下」をAIで感知、スマートウォッチ「Work Mate」に新機能追加:現場管理(2/2 ページ)
AIを活用したデータ分析や電子機器関連のものづくりサービスを手掛けるユビテックは2023年2月17日、工場や工事現場などで働く作業者のバイタル情報を自動分析できる安全見守りサービス「Work Mate」の新機能をリリースした。新しい機能は、集中力が下がり、ケガや事故を引き起こしやすいコンディションを示す「注意力低下状態」を検知してアラート通知する。
AIで個人に合った体調管理を実現
新機能の「注意力低下検知」で重要な要素となるのが、脈動を意味する“パルス”だ。パルスが過度な疲労や睡眠不足などで低下すると、不安全行動やヒヤリ・ハットを引き起こす、いわゆる「注意力低下状態」に陥ってしまうのだという。
ユビテックでは、パルスの上昇や低下によって引き起こされる自律神経の変化を解析し、注意力低下状態を検知するアルゴリズムを独自に開発した。スマートウォッチから取得した活動状態のデータをリアルタイムで分析し、作業者の動作に対してパルスの低い状態が一定時間継続した場合に「注意力低下状態」と判定。本人と管理者へアラートを発報し、それによって、ウォッチ上に表示された顔のアイコンが変化する仕組みとなっている。困った表情になったり、赤く火照った顔になったりして、注意力の低下や熱中症になりかけている身体状態を感覚的に伝えるそうだ。
その上、検知機能にはAIによる学習機能を搭載しているのも特徴。使用するたびに、個人の体調特性と作業特性を反映させていくため、日に日にその人に合った診断ができるようになり、その精度も高められるという。
また、新機能に関する実証実験も実施している。黒い画面上に不定期間隔で数字が映し出され、その時の反応速度を測定するPVTテストと、受講者本人へのアンケートを行った。一定よりも反応速度が遅れた回数を「反応遅延回数」として集計し、受講者の集中力低下を客観的に測った。参加社数は5社1200人で、20〜60歳の男女が対象となった。
その結果、Work Mate上で「注意力低下状態」と検知されたケースの多くで、反応遅延がみられたと分かった。その的中率は70%以上。主観的な印象を尋ねる受講者アンケートでも、「アラート時には、集中力の低下を実感していた」という意見が多く寄せられた。実証実験を手掛けたIoTイノベーション室長の宮内弘一氏も、「アンケート結果から、新機能の妥当性を示す指標としては、上々の評価を得られた」とうなずき、今回の正式リリースにつながったと、意気揚々に語った。
「今後はより一層、Work Mateの機能性向上に努めていく」と宮内氏。大内氏も、「建設現場だけでなく、トラック運転手など運送や交通の関連企業に向けても提供していきたい」と力を込める。アラート検知によって漫然運転や居眠り運転、操作ミスを減らし、交通事故の未然予防を目指していくと言葉を結んだ。
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