清水建設ら3社が交通や防災、観光の最適化で「街の未来を予測する」データ分析プラットフォームを開発:スマートシティー
清水建設とグルーヴノーツ、GEOTRAは、位置情報などのビッグデータと先端テクノロジーによるシミュレーション技術をかけ合わせ、交通や防災、観光の最適化を図るデータ分析プラットフォームの開発に着手した。グルーヴノーツ独自のデータ分析サービス「CaaS」に、清水建設のまちづくりノウハウ、GEOTRAの「GEOTRA Activity Data」をかけ合わせ、交通や防災、観光の最適化に貢献するデータ分析プラットフォームを構築する。
清水建設とグルーヴノーツ、GEOTRAは2023年2月6日、位置情報などのビッグデータと先端テクノロジーによるシミュレーション技術をかけ合わせ、交通や防災、観光の最適化を図るデータ分析プラットフォームの開発に着手したと発表した。
交通最適化や地域活性化、都市防災の高度化など、都市課題を総合的に解決
近年、ビッグデータやデジタル技術を用いて、交通や防災、観光など都市課題の解決を図るスマートシティーへの期待が高まっている。
このうち交通分野では、人口減少や移動需要の変化に伴う公共交通網の再編ニーズがあり、防災分野では、大規模豪雨などの自然災害が甚大化すること受け、災害時に即時的かつ効率的に復旧に向けた施策を実行する体制を整えることが急務となっている。
観光分野では、コロナ禍からの回復に向けて、観光地での賑(にぎ)わい創出や戦略的な観光施策の提言が求められている。
こうした多様なニーズに対し、分野を横断して分析できるプラットフォームを構築するには、都市計画や開発に対する知見とノウハウ、ビッグデータやシミュレーション技術に関する知見を高度にかけ合わせる必要がある。
プラットフォームの開発を目指す3社のうち、清水建設は、都市計画から設計や施工、まちの運営サービスまで自治体と連携した街づくりを進めるなかで、街づくりのノウハウや地域ネットワークを構築し、建物や街区レベルで収集したデータを保有している。
また、グルーヴノーツは、量子コンピュータやAI、ビッグデータを手軽に利用できるクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を通じ、社会や企業が抱える問題の解消に取り組んでいる。そのなかで、地域社会にあるさまざまなデータを組み合わせ、先端テクノロジーを用いて解析して都市の可視化を図る独自サービス「City as a Service(シティー・アズ・ア・サービス、CaaS)」を提供している。
GEOTRAは、GPSの位置情報と合成データ生成技術により、これまでの人流ビッグデータと比較し、詳細な人流分析やシミュレーション解析が可能な「GEOTRA Activity Data」を保有している。
今回発表したプラットフォームの開発では、グルーヴノーツ独自のデータ分析サービスのCaaSに、清水建設の街づくりノウハウや地域ネットワーク、建物、街区レベルで収集したデータと、GEOTRAのGEOTRA Activity Dataをかけ合わせ、交通や防災、観光の最適化に貢献するデータ分析プラットフォームを構築する。
データ分析では、国や自治体のオープンデータ、学識者の助言も取り入れるなど、産官学連携の取り組みにより、交通最適化や地域活性化、都市防災の高度化など、都市課題を総合的に解決し、全国の自治体と連携した都市計画に活用するとしている。
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