スマホで誰でも一人で位置出しが可能に トプコンが考える未来の墨出し:第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−(2/2 ページ)
光学技術を生かしながら、施工現場のDXを推進するトプコン。2022年12月に開催された建築総合展「ジャパンビルド」の同時開催展の1つ、「第2回 建設DX展」のブース取材から、墨出し作業の省力化を実現する「楽シリーズ」を中心にレポートする。
位置出し誘導アプリ「楽墨」とキャンディーミラーで1人で完了
墨出し前の準備では、楽位置を任意の場所に設置。傾きが±3度の範囲ならば、電源を入れると機械が自動で整準する。
次に現場にある境界点や逃げ墨など、基準点となる2カ所に360度プリズム「キャンディーミラー」を合わせて、座標を測定。その座標をもとに、楽位置が自らの位置座標を自動で測定する。機械の計測準備が整ったら、位置出し誘導アプリの楽墨とキャンディーミラーを使って、墨出しを行う。
従来は、1人が測量用ポールを持ちながら移動し、もう1人がトランシットやトータルステーションをのぞきながら追いかけて墨出しするのが一般的な手法だった。楽位置では、作業者が手に持つキャンディーミラーを、機械が自動で追尾し、リアルタイムで位置を手元のスマホアプリの楽墨に送信するため、作業者はそれをナビゲーションしながら、1人で墨出し作業が完了する。
楽シリーズを使用することでの効果をトプコンの担当者は、「これまで2人必要だった作業を1人でこなせるようになり、人員不足の課題に応えられる。さらに手の空いた人員を別の作業に割くことで、現場の効率化も期待できる」と話す。特に墨出しができる技術者の確保が難しくなっている地方を中心に、楽シリーズの販売は堅調に推移しているという。
楽シリーズは、墨出し以外にも活用方法があり、それは検査作業だ。「例えば、アンカーの中心や基礎の天端など、検査したい位置にプリズムを設置し、機械で計測することで、設計に対する施工のズレをチェックすることも可能になる」。
今後は、他の工程でも楽シリーズを活用できるシーンを増やす計画だ。担当者はその例として、「設備の配管も位置出しや内装の間仕切り壁の墨出しなどのシーンで利用が考えられる」としたうえで、「それぞれの工程で使いやすいよう、アプリの機能を最適化する開発をしていきたい」と展望を語った。
IoTで建設現場のイメージ刷新を目指す
建設現場の人手不足解消のためには、生産性向上だけではなく、若年層など新規入職者が業界に魅力を感じてもらえるように働く環境を整えることも欠かせない。担当者は、「IoTなどの新しい技術を積極的に現場で活用することは、効率化や省力化だけでなく、これまであった建設現場のネガティブなイメージを、カッコイイなどのポジティブなイメージに変える効果もある」と期待する。
トプコンの出品製品は他にも、複数のセンサーと2代目「杭ナビ」の愛称を持つレイアウトナビゲーター「LN-150」とを組み合わせることで、小型バックホウをICT建機のMG(マシンガイダンス)バックホウとして利用する「杭ナビショベル」、3Dレーザースキャナーと自動追尾トータルステーションの機能を兼ね備えた「GTL1-1200」なども紹介した。
また、ブースの一角には、トプコンがこれまで開発してきた測量機器と、開発の年表も展示。測量領域での長い歴史と、それに対する矜持(きょうじ)が感じられるブース構成となっていた。
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