コンクリート打設口の切替を自動化「スイッチャーズ」:施工
戸田建設と大栄工機は、山岳トンネルの覆工コンクリート打設時の苦渋作業を省人化により改善する目的で、コンクリートの打設口を自在に切り替える「スイッチャーズ」を開発し、実証試験にて有効性を確認した。苦渋作業の改善や生産性の向上、人員の削減を図る。
戸田建設と大栄工機は、山岳トンネルの覆工コンクリート打設時の苦渋作業を省人化により改善する目的で、コンクリートの打設口を自在に切り替える「スイッチャーズ」を開発し、実証試験にて有効性を確認した。特許も出願済みだ。
従来の工法では、覆工コンクリートはセントルに設けられた450ミリメートル×550ミリメートル程の多数の検査窓に打設ホースを設置して打設する。この工法では、セントルの下端から覆工コンクリートを打ち上げていく際、打設ホースを上側の検査窓へ人力で移動し、打設の終わった箇所の検査窓を人力で閉じる必要があり、重いホースの移動や検査窓の開閉が苦渋作業となっている。
今回開発のスイッチャーズでは、投入口の自動開閉機能を備えたスライド型配管切替装置で、その複数を組み合わせて打設できる。
打設時は、直径150ミリメートル程度の任意の打設口を油圧で切り替え、打設口を油圧で開閉できる。これにより、打設時の打設ホースの移動や検査窓を閉じるための人力作業の必要がなく、苦渋作業の改善や安全性および生産性の向上が図れる。
従来の工法では人力で5分程度かかっていた検査窓間の移動は、スイッチャーズの打設口の自動切替では10秒程度となっており、作業時間を削減する。
さらに、打設高さに連動して自動で打設口が切替わるシステムに改良し、切り替え操作に要する人員を削減、打設高さに合わせ自動で締固めるセンサーバイブレーターを組み合わせ、締固め作業に要する人員も削減する。
これらにより、打設作業に要する人員を、従来の6人程度の1/3程度である2人程度に省人化することを目指す。
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