Skydio日本仕様モデルや無人潜水機など「河川インフラ点検」のあらゆる課題に対応、エイト日本技術開発の各種ドローン:建設技術展2022近畿(2/2 ページ)
河川インフラの点検作業は、点検しづらい箇所があったり、大雨による増水といった自然環境の変化で、構造物の周囲が大きく変化したりなど、さまざまな困難を抱えている。こうしたなかで、ドローン技術が課題を解消できる手法として注目を集め、各社で開発が盛んに行われている。建設技術展2022近畿のブース取材から、現場のニーズを踏まえ、より利便性の高まる最新ドローンを紹介する。
溝橋や水路などに対応した「全方向水面移動式ボート型ドローン」
インフラ構造物には、溝橋や水路といった桁下の空間が狭く、水位が高く通常のドローンでは検査できない箇所もある。こうした課題に対する解決ソリューションとなるのは、ジャパン・インフラ・ウェイマークが開発した「全方向水面移動式ボート型ドローン」。ボート上にカメラとプロペラを搭載し、狭い空間であってもスムーズに映像を取得できる。ソナーを搭載すれば橋梁の洗堀調査など、水中の状況を探査することもできる。2022年度秋には国土交通省に技術性能が認められ、「点検支援技術性能カタログ」の掲載まで果たしている。
水中の状況をAUV(自律型無人潜水機)で点検できるツールも紹介。YSIが開発した「YSI i3XO EcoMapper AUV」はコンピュータと各種センサー類を搭載した水中ロボットで、あらかじめ設定したコースや深度を自動航行させられる。毎秒1〜2メートルの巡航速度で、8〜14時間の連続運用に応じ、Wi-Fi通信機能を備える、水中の音響画像や水底の3次元地形データ、水質データの取得が可能で、ダム貯水池や水中構造物の維持管理が効率的に可能となる。
来場者の説明にあたった説明員は「これまでは人が入り込めない空間や水中の点検はダイバーによる近接目視が中心だった。しかし、人力での点検は手間だけでなく、増水などで命のリスクまで伴う。利便性だけでなく、危険を回避できるソリューションとして高く評価してもらっている」と話す。
豊富なノウハウに基づいたドローン点検を支援するサービスも提供
こうしたドローンやAUVの点検をよりスムーズにできるように、点検支援サービスも提供している。ドローン点検後には、関係者全員で状況を確認するため、点検映像を映す画面に人が集まってしまいがちで、新型コロナウイルスの感染対策や点検を精査する上でも支障が発生してしまう。
そこで、関係者間でスムーズに情報共有ができる環境として、スマートグラスにドローン映像を映すサービスを用意している。現地に行かなくとも、リモートで点検内容をリアルタイムで確認できるようにしている。
エイト日本技術開発は、今後も自社でドローンを積極的に活用してきたノウハウを生かし、河川の維持管理をさらに効率化するソリューションを今後も届けていく考えだ。
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