日産と積水ハウスが“集合住宅にもEVを”で「+e PROJECT」発足 初弾で日産リーフとシャーメゾンを無償貸し出し:産業動向
日産と積水ハウスは、集合住宅でのEV普及を目的に新たなプロジェクト「+e PROJECT」をスタートさせた。
日産自動車と積水ハウスは2023年1月12日、住環境でEV(電気自動車)を諦めない社会の実現を目指し、集合住宅のEV導入を対象としたプロジェクト「+e PROJECT(プラスイープロジェクト)」を発足させた。今後は、EVのある暮らしを積水ハウスの「シャーメゾンZEH」での疑似体験や特設サイトをオープンするなど、共同住宅のEV設置に関する普及活動を展開していく。
住環境が理由で、「EV購入を断念した経験がある」は半数以上
今回のプロジェクトは、日産が2022年12月に実施したEVの購入時に重要な住居環境についての調査結果を受け、日産はEVの普及には住環境の整備が重要と考え、積水ハウスとタッグを組むこととなった。
調査では、EV検討層の直近3年間での購入検討が7割以上と増加傾向にある一方で、「自宅で充電できない」が57.8%と最も多く、さらに現在、集合住宅に住んでいるが設備が無いためEVの購入が難しいと考える人が88.6%となり、充電設備がEV導入へのハードルになっていることが明らかとなった。また逆に、「EV充電が気軽にできる集合住宅があるとしたら、住む前に体験したいと感じますか?」との問には、81.0%が「体験してみたい」と回答。EV購入と住居の充電環境への関心の高さがうかがえる結果となった。
初弾として、日産が神奈川県横浜市で積水ハウスが建築したゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」で、EVのある暮らしを体験するイベント「+e 試住」を2023年3月4日に開催する。+e 試住は、EV「日産リーフ」と積水ハウスが建築したゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾン ZEH」を無償で貸し出す。さらに、サステナブルな食材をサステナブルな調理で味わう「食体験」、最先端の防災対策をゲーム感覚で体感する「防災シミュレーション」、ペットの快適まで追求した「ペットとの暮らし」の3つのテーマを設定し、集合住宅でEVのある暮らしを1泊2日で体験する。
また、既に集合住宅の居住者向けに集合住宅のEV充電設備導入方法を分かりやすいステップでまとめた特設サイトも2023年1月12日にオープン。Webサイトでは、プロジェクトに関する内容だけではなく、充電器の設置を検討する際に参考となる具体的な設置方法に関する情報などを紹介。他にも、EVと暮らしにかかわるニュースや体験者の声などの定期配信をはじめ、「興味はあるけど、何から始めたらいいのか分からない」という人向けに「First Step診断」も設けた。診断結果には、充電サービス業者のENECHANGE、Terra Motors、ユアスタンド、ユビ電の解説ページも用意。設問に答えていくとEV導入に向け、「初めの一歩」に何をしたら良いかが具体的に分かる仕組みとなっている。
日産と積水ハウスは今後も「移動(車)」と「暮らし(住居)」との両輪で、ゼロエミッション社会の実現を目指し、集合住宅でのEV普及に貢献できる活動をともに協力して展開していくとしている。
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