シロアリ対策にロボット活用、積水ハウスが実戦投入:情報化施工
積水ハウスは賃貸就業住宅のシロアリ対策にロボットを導入する。床下に薬剤を散布する処理を、遠隔からロボットで行えるようにする。立ち会いなど住民の負担も減る他、従来の作業者が床下に入る方法よりコストを1割削減できるメリットもあるという。
積水ハウスグループ(以下、積水ハウス)は、コシイプレザービングと協力し、ユニット分割可能なロボット式防蟻(ぎ)再施工システム「スプロボ」による賃貸集合住宅の床下防蟻処理工事の受注を3月16日から開始する。
建物に被害を与えるシロアリへの対策では、侵入経路となる床下に防蟻処理を行う。積水ハウスによれば、薬剤の防蟻効果の持続期間の目安である10年ごとの防蟻再施工が望ましいとされているという。従来こうした床下防蟻処理は、室内の床下点検口から作業者が床下に入り施工を行う。そのため、賃貸集合住宅の場合は1階各戸の室内の点検口から入るために各入居者の立ち会いが必要だった。
ロボット式防蟻再施工システムであるスプロボは、建物外部の基礎にある床下換気口から施工ロボットを入れ、建物外から施工ロボットのカメラの映像をモニターで確認しながら遠隔操作して防蟻処理を行う。2LDK、6戸の2階建て賃貸集合住宅(1階面積200平方メートル)であれば、1日で防蟻処理の施工が行えるという。施工ロボットは4分割できるため、床下換気口が狭い場合にも分割挿入して組み立てることができる。
建物外から遠隔で作業を行うため、作業者が各戸の室内や床下に入る必要がなくなる。入居者やオーナーの立ち会いなどの負担を軽減でき、従来と比べて約1割のコストダウンにもつながるという。
当面は施工ロボット50台を導入して、積水ハウスリフォーム東日本、積水ハウスリフォーム中日本、積水ハウスリフォーム西日本の3社から受注を開始する。その後、積水ハウスグループ内でリフォーム事業を行っている積和不動産、積和建設各社にも順次拡大していく方針だ。
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