アシストスーツ市場の拡大を目指し、メーカー4社が「アシストスーツ協会」を発足:アシストスーツ
アルケリス、イノフィス、加地、ダイドーのアシストスーツメーカー4社は、任意団体「アシストスーツ協会」を立ち上げ、アシストスーツ限定展示体験会「アシストスーツサミット」など業界を横断した普及活動に努めていく。
アシストスーツを手掛けるアルケリス、イノフィス、加地、ダイドーの4社は2023年1月10日、“アシストスーツ”の認知度向上と市場形成を加速させるため、2022年11月11日に任意団体「アシストスーツ協会」を発足したことを明らかにした。代表理事には、アルケリスの飯田成晃氏が就任した。
アシストスーツ市場拡大のため、メーカーが協力体制を構築
アシストスーツ(パワーアシストスーツ)は、モーターによるアシストや人工筋肉などによる荷重分散効果で、重量物の持ち上げ下げ時に身体に掛かる負荷を軽減する目的で開発された製品。
建設、物流、製造、農業、医療、介護などさまざまな業界で、人の手による作業が必要な現場での身体負荷を軽減することができる。昨今、人手不足や高齢化が深刻な社会課題として顕在化しているなかで、作業時間の短縮や業務効率化、高齢者や女性の就労支援につながる一助として、アシストスーツ市場の拡大が期待されている。
一方、顧客からは従業員の確保をはじめ、職場環境の整備に、アシストスーツを活用したいと考えてはいるが、「多様な種類のアシストスーツがあり、自社の課題に合致したものが見つけられない」「体験しようにも体験できる場所がない」との声が寄せられているという。また、開発企業の営業目線では、「企業ごとにデモンストレーションの場を持つように交渉するのは時間と手間がかかる」との問題を抱えている。
こうした現状を打破するため、アシストスーツ関連企業が協力してアシストスーツ製品の認知度向上、市場形成、啓蒙活動を共同で行っていくこととなった。既に業界団体や企業向けに出張合同体験会を実施し、今後はイベント開催だけでなく、さまざまな取り組みを検討していくと表明している。
参画企業の1社アルケリスは、社名および製品名が「歩けるイス」に由来し、立ちながらにして座れるアルケリスは医療現場や工場などでも幅広く展開。
イノフィスは、作業時に腰の負担を低減する「マッスルスーツ EVERY」を販売。最大25.5kgf(kilogram-force)の補助力で、重さは3.8キロと軽量。電力を使用せず、圧縮空気を使用した人工筋肉が補助力を発揮するため、製造・物流・建設・農業・介護などの作業現場で累計2万台以上採用されている(2021年4月末現在)。
加地はオランダのLAEVO(レイボ)のアジア地域総代理店としてアシスト装具「レイボ」を取り扱う。パッドには、加地が独自開発した素材「EXGEL(エクスジェル)」が装着されている。
ダイドーは、上向き作業用で、バネやダンパーを使用した電力を使用しない独自の設計技術を応用したTASKシリーズを商品展開している。
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