「2022年度建設投資見通し」からみる建設市場の動向、2022年度は伸び悩み政府の建設工事投資は大幅減:建設業の人材動向レポート(46)(2/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、国土交通省の「2022年度建設投資見通し」をもとに、2022年度の建設市場を予測していく。
■民間建設投資は20年度以降、3年連続で増加
民間建設投資についてみると、22年度は、前年度比2.9%増の44兆4600億円の見通しとなっている(図表5)。20年度は前年度比2.7%増、21年度が同5.6%増と、新型コロナ感染症拡大の影響下でも、民間建設投資は3年連続で増加した。
工事分野別にみると、民間企業の設備投資に関連する非住宅投資・土木投資が19兆200億円(前年度比7.2%増)、住宅リフォームなどに関連する建築・補修投資が9兆4700億円(同1.2%増)と増加した一方、住宅投資は15兆9700億円(同0.9%減)と減少となった(図表6)。
■まとめ
2022年度の建設市場は、公共事業による政府土木投資が6200億円の減少、政府建築投資が1700億円の減少、政府建築・補修投資が700億円の減少と、政府の建設工事投資が大きく減少となる見通しだ。
一方、民間企業の設備投資や都市開発などの復調を背景に、民間土木・非住宅投資が1兆2800億円の増加の見通し。民間投資が建設市場を支え、建設投資総額全体では3900億円の増加(0.6%増)となった(図表7)。しかしながら、建設資材の高騰などにより、建設投資総額の実質値は21年度にはマイナスとなっており、22年度についても建設資材などの価格上昇が続くと実質値でマイナスになる危険性もあると考えられる。
著者Profile
建設HR
ヒューマンリソシアでは、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設産業構造の大転換と現場BIM〜脇役たちからの挑戦状〜(1):【新連載】建設産業構造の大転換と現場BIM「業界アップデート!マジで、やる。」
本連載では、野原ホールディングスの山崎芳治氏とM&F tecnicaの守屋正規氏が共著で、BIMを中心とした建設産業のトランスフォーメーションについて提言していく。設計BIMについては語られることも多いため、本連載では施工現場や建材の製造工程などを含めたサプライチェーンまで視野を広げて筆を進める。 - 建設業の人材動向レポート(45):「2022年上半期の建設市場と人材需給の動向」〜建設市場は堅調、人材不足による供給制約に懸念〜
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、国土交通省の「建設総合統計」をもとに、2022年上半期の建設市場の動向を見ていく。 - 建設業の人材動向レポート(44):【独自調査】男女の賃金格差開示の義務化に向けて、建設業がやるべきことは何か?
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、男女の賃金格差の開示を義務付けた女性活躍推進法の改正省令について解説する。 - 建設業の人材動向レポート(43):建設業のGDPに関する国際比較「世界1位の中国は10年連続で大幅増」
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設産業を生産面から見た建設業のGDPについて、主要6カ国の違いを分析している。 - 建設業の人材動向レポート(42):技能実習以外の「特定技能1号」などが増加傾向、建設業の“外国人労働者”を調査
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR」が独自に調査した建設業における人材や市場動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設業における海外人材(外国人労働者)の動向をリサーチしている。 - 産業動向:建設業の「労働環境」「年間給与額」は全産業を上回る、労働時間は3年連続減
建設HRは、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2022年3月分のマンスリーレポートを公表した。今月は、建設業における最新の給与動向と労働時間を調査し、独自の視点から分析している。