三井ホームが新宿区で都市型木造マンションを開発、独自の小型クレーンで工期を短縮:プロジェクト(2/2 ページ)
三井ホームは、東京都新宿区須賀町で、都市型木造マンション「MOCXION 四谷信濃町」の開発を進めている。
1カ月弱の工期短縮を実現
Muteは、フローリング、高比重遮音マット、パーティクルボード、制振パッド、強化石こうボード、合板、床根太(ねだ)、ロックウール、吊り天井根太、強化石こうボード、配線用二重天井LGS下地、石こうボードを上から順に積層した床材で、RC造と同等の遮音性を実現し、RC造やS造と比較して優しい歩行感を体感可能。
制振パッドは、防振ゴムを脚部に取り付けることで、歩行の衝撃を防振ゴムが吸収するようにしている。吊り天井根太は、天井側の石こうボードを支え、上階からの衝撃音を物理的に絶縁し、天井側の遮音性も高める。吊り天井根太の接合部材としては独自開発した「防振天井根太受け金物」を採用した。防振天井根太受け金物は、搭載された山型の防振ゴムが金物の上にのる吊り天井根太の接触面積を小さくし、天井からの衝撃を効果的に抑える。
今回の物件では、新たな取り組みとして、独自開発した小型クレーンを導入し、当初の予定と比較して、1カ月弱の工期短縮を実現する見込みだ。
「具体的には、MOCXION 四谷信濃の開発地は、敷地面積が264.463平方メートルと狭小で、大型車両が長時間駐車できない道路が前面にあるなどの施工条件により、当社は建て方工事の2分の1を大型クレーンで施工し、残りは手運びで施工する予定だったが、補助金交付の獲得を目的に、そのスケジュールに合わせるべく、独自開発した小型クレーンを採用した」(井上氏)。
建設の工夫に関しては、開発地の基礎有効空間(ピット)が1メートルある利点を生かし、基礎の底版を地面から1メートル以上の深さに取り付け、建物の安定を図っているだけでなく、ポールダウン金物で基礎部分と1〜4階の壁を緊結することで、引き抜き力に強い建物としている。
ちなみに、開発地ではこれまで、S造3階建ての建物があり、基礎梁が地面から1メートル以上の深さまで入っていたため、解体時に深さ1メートルの有効空間が創出され、このスペースを活用した。
環境配慮について、構造はSRC造と比べて、負荷が抑えられる木造(枠組壁工法)とすることで、SDGsとESG投資などに対応する。木は、製造過程でCO2を排出せず、鉄骨やコンクリートよりも軽量で加工・運搬がしやすく、木造建築はRCやS造と比較して、建設時のCO2排出量を減らせる。加えて、9.8キロワット(kw)の太陽光発電パネルと3.5kwの蓄電池を建物内に設ける。
また、高い断熱仕様とし、BELS認証の「ZEH-M Oriented」を取得し、優れた耐久性を達成することで住宅性能表示制度の劣化対策東急で最高等級の「3」を獲得する見込みだ。
MOCXION 四谷信濃町の概要
MOCXION 四谷信濃町は、木造地上4階建ての耐火建築物で、延べ床面積は593.58平方メートル。所在地は東京都新宿区須賀町7-5、6で、敷地面積は262.45平方メートル。総戸数は16戸で、住戸タイプは、1Kが3戸で、1DKが12戸、1LDKが1戸、専有面積は21.66〜31.52平方メートル。
設計・施工は三井ホームが担当し、着工は2022年6月13日で、完成は2023年5月中旬、引き渡しは2023年5月下旬を予定している。
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