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コクヨがデジファブ事業を始動 VUILDの木材加工機「ShopBot」で木素材の内装空間や家具を提案デジタルファブリケーション(1/3 ページ)

コクヨは、東京品川オフィス内に新たな協創の場となる実験スタジオ「(0,0,0)studio genten」をオープンし、木素材をメインにしたデジタルファブリケーション技術を活用した新事業をスタートさせた。デジファブ事業では、米国製の木工用加工機(CNCルーター)「ShopBot(ショップボット)」を活用し、多様化するワークスタイルに応じた家具や内装造作などを制作し、「働く空間」の新たな価値創出を目指す。

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 コクヨは、デジタルファブリケーションを活用した木素材を中心とするオリジナルの内装空間やアート、家具を提案するサービスを2022年11月1日から開始した。併せて木工の制作ファブラボ(Fab Lab=実験工房)として、コクヨ東京品川オフィスTHE CAMPUS内の共創空間「KOKUYO OPEN LAB.」に、VUILDが提供するデジタル木材加工機「ShopBot」を導入した「(0,0,0)studio genten(以下、スタジオゲンテン)」をオープンした。

木素材で“集まりたくなるオフィス”を提案

 コクヨがデジファブ事業に参入するのは初。新規参入の狙いは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって定着した働く場所の分散と、働き方の多様化で定着したハイブリッドワークによる新しいワークプレースのニーズに着目したオフィスリニューアル需要の獲得がある。

 特に、「時間」と「場所」をワーカーが自由に選択できるActivity Based Working(ABW)をはじめとするハイブリッドワークの浸透で、従来のオフィスに求められた業務効率や機能的な側面だけに限らず、“集まりたくなるオフィス”という心理的側面にフォーカス。木素材による温かみや安らぎ、カスタマイズによるオリジナリティーや働く人への好影響といった点を実現するために、複雑な木材加工を可能にするデジファブ技術を採用するに至った。


「(0,0,0)studio genten(スタジオゲンテン)」に導入されたデジタル木材加工機「ShopBot」

 これまでコクヨは、オフィス什器のメーカーとして、ワークプレースの領域から人々の場や空間の在り方を探求し、新たな価値を追求してきた。デジファブを活用した家具や内装造作の事業化を通じ、働く空間の価値向上に取り組むことで、働く人にとってより良いワークスタイルの提案につなげていく。

 また、デジファブ技術により木材の利用の幅を広げ、森林保全の観点で間伐や間伐材の有効活用を促進する。さらに、国産木材を積極的に使用し、林業の活性化につなげるなど、持続可能な利用環境を作っていくことでSDGsへの貢献も見込む。

 新たに開設するスタジオゲンテンでは、木素材を3Dで加工するShopBotを活用し、木を中心としたオリジナルの内装空間やアート作品、家具を提案するサービスを顧客やパートナーとともに試作や検証を行っていく。


「ShopBot」で制作した「(0,0,0)studio genten(スタジオゲンテン)」のサイン

 VUILDとの協業は、以前から椅子の製作や公共ベンチなどのストリートファニチャーのワークショップで付き合いがあり、2022年7月には資本業務提携を締結。木工CNCルーターのShopBotの活用だけでなく、ShopBotと設計作業を結ぶソフトウェアに相当するクラウドプレカットサービス「EMARF」や全国の木材加工業者とのネットワークなど、デジファブのプラットフォームを持つVUILDがパートナーとなったことで、コクヨが持つオフィス空間提案やものづくり技術を進化させ、新たなソリューションの提供や木製家具のビジネスモデル構築といった可能性も広がる。

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