野原HDが建設DXの実態調査、競合のDXは自社のDX推進に「影響をする」は半数以上:建設DX
野原ホールディングスは、建設DXの実態調査をゼネコン267社を対象に実施した。調査結果では、競合のDXは自社のDX推進に影響はあると答えたゼネコンは半数を上回った。
建設業界をアップデートするを掲げ、設計BIM〜生産〜施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を展開する野原ホールディングスは、総合建設会社(ゼネコン)に勤務する267人に対し、「競合のデジタル化が自社のDX推進に与える影響」のテーマで建設DXのアンケート調査を実施し、その結果を2022年9月に公表した。
競合のDX化は、計画段階に携わる設計・積算部門で影響を受けると判明
調査結果によると、ゼネコン267社に「実績の有無は問わず、競合のDX化は自社のDX推進に影響がありますか?」と聞いたところ、57%のゼネコンが「影響がある」と回答した。一方で、「影響がない」と答えたゼネコンはわずか11%の結果となった。
「これまでに競合のDX化をきっかけに自社のDXが進んだ実績はありますか?」の設問では、ゼネコン全体では58%が「はい」と回答。「建設DXに積極的である」と回答したゼネコン173社に同じ設問で問うと、73%が「はい」と答えた。
「競合のDXは自社のDX推進に影響がある」と回答したゼネコン150社に「特にどの部門で影響がありますか?」と質問すると、「積算部門」が51%と最も多い結果に。次いで「設計部門」が47%、「施工部門」が37%。逆に、営業部門は17%と低かった。
また、競合のDXを機に自社のDXが進んだ実績のあるゼネコン154社に対し、「競合のDX情報はどなたにシェアしますか?(複数回答可)」と聞くと、「直属の上司」と答える人が57%と最も多い結果になりました。次いで38%が「同僚」、27%が「直属の部下」と回答しています。
調査総括で野原ホールディングスは、DXが浸透すると業界全体のビジネスモデルが劇的に変化するため、デジタル化の波に乗り遅れると大きな機会損失を招く恐れがあると提言。「今回の調査で、ゼネコンの約6割が、競合事例は自社のDX推進に影響があると答えた背景には、競合との差別化を図りたい、競合に後れを取りたくないとの思いがあると推察される」とコメント。
また、「競合の影響を受けて特にDXが進む部門は、積算部門で51%、設計部門で47%となり、施工などの現場仕事と比べて比較的デスクワークが多いことから、デジタル化に着手しやすいことがうかがえる」と話す。
競合のDX情報をシェアする相手は、直属の上司や同僚と回答した人が目立ったのに対し、DX担当部門と情報に該当する部門と答えた人はそれほど多くなかった。そのため、ゼネコンのDX推進は、デジタル部門ではなく現場主導で行われていると分かったとしている。
<調査結果のトピックス>
■競合のDXは自社のDX推進に影響はありますか?
- 「影響がある」と回答したゼネコンは57%・建設DXに積極的なゼネコンの73%が競合のDXをきっかけに自社のDXが進んだ実績がある
■競合のDXは特にどの部門で影響がありますか?
- 第1位:「積算部門」51%・第2位:「設計部門」47%
- 第3位:「施工部門」37%
■競合のDX情報はどなたにシェアしますか?
※これまでに競合のDXをきっかけに自社のDXが進んだゼネコンの場合
- 第1位:「直属の上長」57%
- 第2位:「同僚」38%
- 第3位:「直属の部下」27%
<調査概要>
調査時期:2022年5月27〜30日
調査対象:ゼネラルリサーチ登録モニターのうち、全国のゼネコン勤務者を対象に実施
調査手法:ゼネラルリサーチのモニターを利用したWebアンケート方式で実施
有効回答数:267人
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