研究施設や工場の防爆区域に“新型ダクト”で光と空気を搬送「T-Light Duct Air」
大成建設と東洋鋼鈑は共同で、施設内の爆発・⽕災が起こらないような対策を講じる必要がある“防爆区域”に、防爆区域外の他室に設置した汎用的な照明・空調設備を利用して、光と空気を同時に搬送する新型ダクト「T-Light Duct Air」を開発した。研究施設や工場などを対象に、防爆区域での照明・空調に適用可能な技術として、積極的に提案していくという。
大成建設と東洋鋼鈑は共同で、“防爆区域”に防爆区域外に設置した照明・空調設備を利用して、光と空気を同時に搬送する新型ダクト「T-Light Duct Air」を開発した。
低コストの汎用設備で、同一ダクトに防爆区域へ光と空気を搬送
研究施設や工場では、爆発や火災の恐れがある可燃性ガス・蒸気、薬品などを取り扱う実験室や危険物の保管庫に、照明や空調といった電気設備を設置する場合は、点火源となることを防ぐため、防爆仕様とすることが必須となっている。
しかし、防爆仕様の照明器具や空調設備は導入コストがかさみ、点火源となる恐れのある電気設備は、防爆区域に設置される装置の大きさや保管物の高さに応じて、天井の高い位置に設置されることが多く、設備の保守点検時に必要となる足場の設置がネックとなっていた。
大成建設が東洋鋼鈑と共同で開発したT-Light Duct Airは、防爆区域外の他室に設置された照明・空調設備を用い、同一ダクトで防爆区域に光と空気を同時に搬送することを可能にした新型ダクト。
新型ダクトの内面には、静電気が蓄積せず、埃が付着しにくい金属性導電素材を使った鏡面反射仕上げを採用。ダクト内への埃の付着や堆積を防ぐことで、ダクト内を通過させる光の減衰を抑制することが可能になる。
さらに、ダクトの空気流入部にフィルターを設置し、埃の進入が防げ、防爆区域に適切な光と温湿度、気流などを調整した空気を搬送することが可能になる。
施工方法は、従来の空調・換気ダクトと同じ方法でより容易に行える。防爆区域の高天井部に適用する際は、防爆区域外の他室に照明および空調機を設置することで、保守点検時の作業を安全かつ簡単に行えるメリットも生まれる。
照明に関しては、自然採光を取り入れた光ダクトとしても利用可能で、省エネ効果が期待される。空調では、ダクトの防火区画貫通部に防火ダンパを配置することで、万一の火災時にはダクト内へ炎の侵入を阻止できる。
さらに、防爆区域に高価な防爆仕様の照明・空調器具を設置する必要がなく、コストを抑えた施設の計画や運用が可能となる。
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