連載
いま注目の“AIによる画像生成”技術をインフラ分野へ応用する試み【土木×AI第15回】:“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(15)(3/3 ページ)
連載第15回は、Web上で話題となっているAIで画像を自動生成する技術について、インフラ分野でどのように生かせるか、先端技術の論文を紐(ひも)解きながら紹介します。
白黒写真をカラー写真に変換するGANを発展させた「px2pix」
px2pixのセマンティック・セグメンテーションへの適用を試みているのが、文献6の「深層学習における少数の事象を対象としたアノテーション方法の検討」※6です。森林地帯で樹木が感染する病原菌の拡大を防ぐために、枯死木が発生または拡大しているエリアを早期に検出する必要があります。現在は、下図に示すようにドローンで撮影した広範囲の空中写真から技術者が判読し、現地で確認しているのが実情です。
枯死木をアノテーションした例が下図で、赤い領域が枯死木となります。パターンAは枯死木のみを指定して、それ以外との分類を行っています。パターンBでは、枯死木の他に、枯死木と色調の類似している道路、建物、土砂(畑など)についてもアノテーションして分類しています。元画像からアノテーション画像を変換する学習をpix2pixで行うと、技術者の気が付きにくい箇所の枯死木を検出するといった成果が得られています。また、パターンBの方が高い精度が得られています。
画像生成のAI技術は、まさに日進月歩で進んでおり、その利活用も始まったばかりです。全国で深刻化するインフラ老朽化の問題に適した、新たな機械学習の方法やユースケースの発展が期待されます。
★連載バックナンバー:『“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト』
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