連載
いま注目の“AIによる画像生成”技術をインフラ分野へ応用する試み【土木×AI第15回】:“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(15)(2/3 ページ)
連載第15回は、Web上で話題となっているAIで画像を自動生成する技術について、インフラ分野でどのように生かせるか、先端技術の論文を紐(ひも)解きながら紹介します。
白黒写真をカラー写真に変換、GANを発展させた「px2pix」
都市の樹木は、ヒートアイランド現象の緩和や防風、防音、二酸化炭素固定、生物多様性の維持など都市環境に貢献しています。また、街路樹は暑熱対策や空気の浄化にも有効です。
定期的に樹木の幹直径や樹高、葉の状態などをモニタリングすることで、成長度合いなどを把握し、植栽の計画・管理に役立てることができます。既に、レーザースキャナーによって得られた点群データから、AIで樹木を検出する研究が進められています※3、4。
検出の精度を高めるには、多様な樹形など樹木の特徴を反映した多くのデータが必要となります。そこで、GANによって街路樹の画像データの生成が行われています※4。
生成された画像を取り入れて教師データを拡張して学習に用いたところ、点群データから街路樹のセマンティック・セグメンテーションの精度が向上しています。下の図は、点群データから街路樹を検出した結果です。
GANを発展させた手法の1つとして「px2pix」があります※5。px2pixは、もとになる画像からそれに対応した変換画像を生成する手法で、例えば白黒写真をカラー写真に変換するような学習に用いることができます。
その仕組みを示したのが下図です。生成器が元データから変換後の贋データを生成し、識別器は元データと変換データの組に対して真贋を判定し、生成器と競い合います。それにより、生成器が真の変換データに近い画像を生成できるようになるという仕組みです。
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