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30周年を迎えた「ThinkPad」 次の30年に向け、チャレンジを続ける製品開発の背景とは?製品動向(2/3 ページ)

LenovoのノートPC「ThinkPad」は、1992年の登場以来、「あらゆる人にテクノロジーの恩恵を届ける」というスローガンのもと、顧客の成功を支え、環境にも配慮した技術の投入などによって市場に受け入れられてきた。レノボ・ジャパンの開発拠点となっている大和研究所のサイトリーダー塚本泰通氏は、これまでの歩みを「全ては顧客の成功のため、世界のために“挑戦”を続けてきた30年だった」と述懐した。

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バッテリー残量を気にせず1日使えるQualcommコア採用の「X13 GEN 1」

 大和研究所のThinkPad プロダクトグループ CoC Japan マネジャー 園田奈央氏は、Qualcomm製CPUで長時間の稼働を可能としたThinkPad X13 GEN 1のスペックを解説。

 コロナ禍で加速した場所を選ばないワークスタイルは、PCの在り方にも多大な影響を与えた。特にオフィスと自宅に加え、“第3の場所”を組み合わせた「ハイブリッドワーク」というワークスタイルでは、バッテリーで長時間稼働し、高速な通信回線に接続できるPCが求められる。

 また、セキュリティに関してもニーズは高い。ThinkPad X13 GEN 1は、エンドユーザーとIT管理者から発せられるこうした要望をカバーすべく、開発に着手した。


バイブリッドワークでは、バッテリーライフ、高速な5G回線への常時接続、優れた携帯性などが求められる

ハイブリッドワークに使うPCに対するIT管理者の視点

 園田氏は「ハイブリッドワークスタイルを支えるPCを実現するためには、Qualcommが製造するモバイルSoC「Snapdragon(スナップドラゴン)」が必要不可欠だという結論に至った」とする。

 ここで課題となるのが、これまでのThinkPadと同様の企業向けセキュリティや管理機能をスナップドラゴンのプラットフォーム上で実現することだ。そこで、レノボではクアルコム社およびマイクロソフトとパートナーシップを締結し、開発を進めた。

 パートナーシップでは、各社がそれぞれ得意とするテクノロジーを融合。Qualcommが持つスマートフォンの超消費電力技術や5Gの通信技術、MicrosoftのOSレベルでのセキュリティ性の提供はハイブリッドワークで使うPCの開発に寄与した。もちろん、そのベースにはLenovoが長年蓄積したThinkPadならではの企業向け高セキュリティや管理機能となって具現化している。


Lenovo、Qualcomm、Microsoftの3-wayパートナーシップ

 ARMアーキテクチャをベースとするSnapdragonCPUを搭載するにあたり、アプリケーションの互換性を確保することは課題となる。その点でいえば、企業や組織で使用頻度が高い約100のアプリケーションのうち80%以上で互換性が提供されている(2022年5月時点)。

新モデルには再生マグネシウムを90%使用

 今までにない製品開発では、当然ながら苦労やチャレンジもあったという。園田氏は、ThinkPadシリーズで200を超える機能群の棚卸しが行わったと語る。その際は、Qualcommとの機能要件の摺り合わせして、さらにプロジェクトチーム内での新しい評価の策定法を再構築することで、新しいThinkPad X13 GEN 1モデルが生まれた。

 また、新モデルでは再生マグネシウムを90%を使ったキーボードベゼルや天板を採用して、サステナビリティを重視していることも強調した。


筐体設計にはサステナビリティを意識。本体の多くの部分に再生マグネシウムを使用

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