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30周年を迎えた「ThinkPad」 次の30年に向け、チャレンジを続ける製品開発の背景とは?製品動向(1/3 ページ)

LenovoのノートPC「ThinkPad」は、1992年の登場以来、「あらゆる人にテクノロジーの恩恵を届ける」というスローガンのもと、顧客の成功を支え、環境にも配慮した技術の投入などによって市場に受け入れられてきた。レノボ・ジャパンの開発拠点となっている大和研究所のサイトリーダー塚本泰通氏は、これまでの歩みを「全ては顧客の成功のため、世界のために“挑戦”を続けてきた30年だった」と述懐した。

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 1992年に登場したノートPC「ThinkPad」は、2022年に30周年を迎えた。2022年に発表された新たなThinkPadは、30年の歴史の中でも新型コロナウイルス感染症の影響や通信技術の進歩、地球環境への配慮といった市場変化を意識した製品となった。レノボ・ジャパン 大和研究所が「ThinkPad新3シリーズにおける最新のイノベーションについて」と題した会見では、レノボ・ジャパン 大和研究所 執行役員 Distinguished Engineer 塚本泰通氏が、これまでのThinkPadの歴史を振り返るとともに、技術スタッフが2022年モデルに搭載した機能を解説した。

環境意識の高まりや“Z世代”の出現にも応じるLenovoの挑戦


ThinkPadの開発は、レノボ・ジャパンの大和研究所で行われた

 Lenovoの挑戦は、環境意識の高まりや“Z世代”の出現といった昨今の市場変化に対しても積極的に行われる。新しいモデル「X1」「X13s」「Z13/16」のThinkPad3シリーズには、カメラ、省エネ、全体デザインなどの各技術に市場のトレントに対応した特徴がある。


地球環境を意識した製品開発。2030年までの目標を設定し、開発を進めている

マスク着用時も機能する人感センサーを搭載した「ThinkPad X1」

 ThinkPad X1は、レノボのノートPCを代表するモデルであり、モバイル性能を意識しつつも処理能力を追求した製品としてリリース。新技術と機能を積極的に採り入れているモデルであり、個人/法人の別なく、多くのユーザーに愛用されている。

 日々革新を続けるThinkPad Xシリーズだが、2022年のX1モデルでは各種の新しいテクノロジーを投入。レノボ・ジャパンの大和研究所でシステムデザイン戦略を担当する楊 学雍氏は、コロナの影響で2018年から2021年にかけてオンライン会議の利用率が2.6倍になったことを踏まえ、オンライン会議に対応した機能を2022年のX1モデルに取り付けたことを紹介した。

 最初に楊氏が挙げたのは、オンライン会議で重要なカメラの高機能化。新しいX1モデルでは、RGBとIRを分離したカメラ設計により、カメラ映像の低ノイズ化を実現した。また、センサーの高解像度化(FHD)と明るいレンズ(F2.0)の採用により、オンライン会議時にも人の表情が伝えやすくなった。さらに従来機ではUSB経由だった画像転送を非圧縮のまま転送できるMIPI方式とし、より高速な画像処理を実現した。


コロナ禍での利用に対応し、カメラ、音声、セキュリティの機能を向上

 他にも、クリアな会話を可能にする音声の改善や自動ミュート機能なども追加。こうしたイノベーションにより、2022年モデルのX1は、よりオンライン会議で使いやすくなった。

 2022モデルのX1では、人感センサーも進化した。たとえば、マスクをした状態でも認証が可能になった。また、高度なセンシングにより、PCの前を通過するときには反応させなかったり、ユーザーの状態を検出してPCの前にいてもPCを使っていないときには画面を暗くしたりするなど、消費電力を削減する機能を盛り込んだ。さらに、背後からの覗き込みを検出するプライバシーアラート機能をAC接続時に加えてバッテリー駆動時にも使えるようにしている。


2022モデルは、カメラ関係で大幅な進化を遂げた

 楊氏は、2022モデルのX1を開発するにあたり、人種や性別などの多様性にも応じるため、合計400万枚以上の画像を使ったと語る。またPoC(実証実験)によって評価基準を策定するなど、開発手法にも新たな試みが導入されたと話した。

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