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360度カメラで現場を撮影するだけ、VRを活用した技術継承システム作成ソフト:メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022(2/2 ページ)
建築や製造の現場では、熟練技術者が行う作業のポイントを他の作業者に伝えるのが難しい。そのため、熟練者が長い時間と試行錯誤の末に習得した“暗黙知”の技術が後進と共有できず、技術継承ができないという課題がある。
確認テストで学習成果や習得状況の確認が可能
VR-learningで作った学習教材は、VR空間の中にチェックする場所(メーターの数値など)や確認または注意すべき内容(数値やコメントなど)も表示可能だ。
VRトレーニングでは、視線を追跡する機能付きのヘッドマウントディスプレイ(HMD)によって、VR内で受講者が見ている場所が分かる。そのため、チェックすべきポイントとして設定された場所を確認したか否かが判別できる。
視線追跡の機能を使えば、学習後に成果が把握できる。まず、操作を覚える段階ではチェックすべき箇所や数値などのガイドを表示した状態で学習を行う。熟練者が行っている操作や確認点を学んだ後、今度は受講者がヘッドマウントディスプレイを装着してVR空間に入り、熟練者と同じ手順で機器類の操作を行ってみる。最終的に全てのガイドを非表示にし、正しい手順で操作ができれば“合格”となる。
専用ソフトでは、VR空間内での学習者の視線の動き(順番や時間など)を記録。そのデータをもとに学習の成果を評価することも可能だ。チェックできた箇所とできなかった箇所の一覧表示ができるので、強化すべきポイントも見つけやすい。
ちなみに、VR空間内に表示されるコメントの他に、熟練者の音声を流すこともできるという。そのため、場に熟練者がいて指示を与えるような学習環境とすることもできる。
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