累計販売数が1億個の人感センサーの製造工程を津工場で披露、パナソニック EW社:製品動向(2/2 ページ)
パナソニック エレクトリックワークス社は、焦電型赤外線センサー「PaPIRs」の販売数が2022年5月時点で累計1億個に到達したことを発表した。
在宅検知、見守り、家電の制御などで用途が多様化
加えて、焦電素子は、グラインド加工とサンドブラスト加工により、幅60マイクロの微細な形状を達成した「スリット付き小型のクワッド焦電素子」で、熱絶縁性を高め、赤外線変化を焦電素子に確実に取り込むことにより高感度化を実現している。ちなみに、特別な焦電素子の設計を導入することで、光学的焦点距離を短くし、レンズの小型化につなげている。
さらに、大半の焦電型赤外線センサーは焦電素子の材料に鉛を含有するセラミック材を採用しているが、PaPIRsでは、鉛を含まないリチウムタンタレートを利用。
ASICの回路では、独自の回路方式を採用し、低回路ノイズ化を図ることで、誤検知を軽減している。ASICを取り付けるインサート基盤には、パナソニック EW社が金属と成型の加工を施した成形基盤を使用し、高密度な仕様となっており無駄な隙間がない。小型レンズは3次元高精度の金型を用いて製造。
現在、PaPIRsでは、消費電流や出力方式、感度が異なる8種類のセンサーをラインアップしているだけでなく、標準、微動、長距離、特定エリアといった用途が違う14種類のレンズを用意している。
「PaPIRsの用途に関しては多様化し続けている。例えば、在宅検知、見守り、家電の制御、侵入検知を行うIoT機器に採用されているだけでなく、高天井照明と街路灯の制御で活用されている」(園氏)。
PaPIRsの組み立て工程見学会では、レンズ成形とインサート基盤の成型、焦電素子のサンドブラスト加工、ASICとインサート基盤から成るブロックの金属パッケージへの取り付け、焦電素子の装着、レンズをはめ込むキャップの溶接、レンズの組み立てが披露された。
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