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調査リポート

環境測定用IoTセンサーで店舗や施設の“衛生管理を見える化”、日立の独自調査をもとにサービス開発ニューノーマル(1/2 ページ)

店舗や施設を対象にした感染対策のニューノーマルとして、日立製作所とイーヒルズは環境測定用IoTセンサーを活用した衛生管理の状況を見える化する「T*Plats」の導入を進めている。

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 日立製作所とイーヒルズは、施設の衛生管理状況を見える化するサービス「T*Plats」を共同開発し、2022年8月に日立の新サービスとして提供を開始して以降、店舗や施設へ導入提案を積極的に進めている。

店舗や施設のCO2濃度や温湿度などをエンドユーザーに公開

 T*Platsは、イーヒルズが提供するIoTセンサーを、店舗や施設に設置するだけで、大気中のCO2濃度や温湿度などを測定し、データに基づいた衛生管理を可能にするサービス。店舗や施設の管理者は、従来目視では適切に行われているかが判断できなかった衛生管理の徹底が可能になるとともに、T*Platsの公式Webサイト上で、衛生管理状況をエンドユーザーに対して発信することにより、安全安心で、選ばれる店舗や施設づくりにも寄与するなど、ニューノーマルの感染対策をサポートする。

 なお、T*Platsは、内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」(研究推進法人:NEDO)の研究成果を活用して開発したサービス。

 日立製作所では、2022年6月23〜27日の期間に「飲食店や施設の利用に関する調査」を実施。調査では、「どのような感染対策を実施していれば安心してお店や施設を利用できるか」の問いに対して、「室内換気」や「入店時のアルコール消毒と検温」「十分な座席間隔の確保」といった基本的な感染対策に対し、いずれも「気にしていない」と答えた人はわずか約15%にとどまる結果となった。このことから、引き続き約85%の人は、利用する店舗の感染対策状況を気にしていることがうかがえる。

 また、店舗や施設を利用する上で重視しているポイントとして、「感染対策の有無」と選んだ人が約55%にものぼり、「店内の雰囲気」や「アクセスの良さ」などを抑えて最多の結果となり、店選びの基準として「感染対策の有無」が定着していることが判明した。

 調査結果を受け、日立とイーヒルズは、施設の徹底した衛生管理と、利用者にとっても安全安心な施設選びを可能にする仕組みを実現するため、不動産デベロッパーや飲食店、公共施設など約200カ所で店舗の感染対策状況を可視化する実証実験を進めてきた。実証に協力した施設からのフィードバックをもとにシステムの改良を重ね、T*Platsとして今回提供を開始することとなった。


「T*Plats」上で見える化するデータ例(公式Webサイト上で公開される画面イメージ) 出典:日立製作所プレスリリース

 T*Platsの特徴としては、高性能な小型設計「環境測定用IoTセンサー」を搭載し、店舗の感染対策状況を高精度に測定する。イーヒルズが提供する「環境測定用IoTセンサー」は、三密などの感染対策状況を測定するために開発した長距離・省電力のLPWA(Low Power Wide Area)の一種となるLoRa方式ネットワーク対応のIoTセンサー。

 換気度合いを示す二酸化炭素濃度に加え、騒音度合いや温湿度、独自のアルゴリズムによる混雑度を測定することが可能。特に、換気度合いなど目視だけでは適切に行われているか判断できない要素は、データ分析により、リアルタイムで把握が可能なため、効率的に換気対策を行うことが実現する。2021年に実施した実証実験では、冬場の暖房で最大50%削減につながることを確認した(※常時換気をしながら、暖房を最大能力で運転し続けていた時との比較)。加えて、小型設計のため設置も容易で、高品質な内蔵バッテリーを積んでいるため、長時間の稼働にも耐え得る。

 IoTセンサーを用いた衛生管理では、測定データをリアルタイムで分析し、店舗や施設などサービスの加入者に対して衛生管理状況の結果を提供。あらかじめ設定した基準値に反応し、SNSやメールで衛生管理状況を施設管理者に知らせる。また、蓄積したデータをもとに、月次レポートも発行するため、加入者は衛生管理の改善に役立てられる。

 衛生管理状況のエンドユーザーへの情報開示は、T*Plats公式Webサイトにてリアルタイムで公開することが可能。そのため、利用者からのニーズが高まっている衛生管理情報を提供するだけでなく、信頼性の高い施設として訴求し、集客効果も期待される。

 今後、日立とイーヒルズは、飲食チェーンや不動産デベロッパー、自治体、教育機関など、さまざまな業種に展開し、商業施設やオフィス、公共施設など、幅広い施設での「T*Plats」の導入を目指す。さらに、デジタルサイネージと連携し、店頭でも衛生管理状況をリアルタイムで見ることができる機能の提供や他のデータと組み合わせた新たな活用方法の提案も行っていく。

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