2021年度の主要住宅設備機器の市場規模は前年度比2.9%増の約1兆8038億円:産業動向
矢野経済研究所は、住宅設備機器メーカーや関連団体などを対象に、市場の動向について2022年5〜7月に調査し、リサーチの結果をまとめたレポートを発表した。調査結果によれば、2021年度の主要住宅設備機器における市場規模は、前年度比2.9%増の1兆8038億5000万円と推計した。
矢野経済研究所は、住宅設備機器メーカーや関連団体などを対象に、市場の動向について2022年5〜7月に調査し、その結果を同年9月12日に発表した。
2022年度の市場規模は前年度比2.8%増の1兆8551億円
調査結果によれば、2021年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器、水まわり関連設備機器、創エネ関連設備機器の合計値)における市場規模は、前年度比2.9%増の1兆8038億5000万円と推計した。さらに、水まわり設備機器市場や創エネ関連設備機器市場などは前年度と比べて伸長し、その主な理由は前年度のコロナ禍に伴う需要急減からの反動増や新築住宅市場の回復と予想している。
しかし、昨今は住宅設備市場の拡大を阻害する要因が増えている。具体的には、リフォーム市場に関しては、コロナ禍を背景とした在宅時間の長期化に伴う住環境への見直しが進み、リフォーム需要は堅調に推移してきたが、経済活動の本格的な再開に伴い、旅行やレジャー需要も徐々に回復しており、こういったニーズがリフォーム市場拡大の足かせとなる可能性がある。
加えて、世界的な原材料価格の上昇により、各メーカーが企業努力だけではコスト高を吸収しきれず、希望小売価格の値上げを公表しており、値上げが需要を冷え込ませることも想定される。
一方、コロナ禍を要因とした経済活動規制や世界情勢を背景とした世界的なサプライチェーンにおける混乱の収束時期が不明で、材料や部品不足により供給の制約が発生している設備機器が多数ある。
2022年度の主要住宅設備機器における市場規模は前年度比2.8%増の1兆8551億円と推測した。
2022年度については、コロナ禍前である2019年度の水準に向けて回復していくと見込まれているが、新築需要の減少を背景にその回復スピードは緩やかになると推定している。短期的な見通しとしては、2024年度の主要住宅設備機器における市場規模は、2021年度比3.4%増の1兆8660億円になると予測した。
主要住宅設備機器の中でも、2024年度の水回り関連設備機器市場は2021年度比8.1%増で、創エネ関連設備機器市場は同比6.2%増と堅調な伸びを記録する見込みだ。
水回り関連設備機器市場では、比較基点の2021年度に、給湯機器の部品不足が影響し出荷数量が大きく落ち込んだといった特殊要因があるが、脱炭素社会に向けて、2025年に省エネ基準への適合が義務化されることを背景に、高効率給湯器の採用増加が予想されており、エコキュートについては買い替え需要などもあり、底堅く売れる見通しだ。
また、資源エネルギー庁によれば、とくに家庭用蓄電システムは向こう数年間にわたり1年間あたり約30万件のFIT契約満了世帯が生じる予定なため、余剰電力の売電から自家消費に取り込むことで市場が拡大する他、創エネ関連設備機器全般で、環境に配慮する一般消費者が増加し需要が増える見込みだ。
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