2020年度の国内床材市場規模は前年度比12.1%減の4534億円、ウッドショックが影響:産業動向
矢野経済研究所は、床材メーカーや床材関連業界団体などを対象に、床材市場について2021年12月〜2022年2月に調査し、リサーチの結果をまとめたレポートを発表した。調査結果をもとに、2020年度の国内床材市場規模を前年度比12.1%減の4534億円と推計した。
矢野経済研究所は、床材メーカーや床材関連業界団体などを対象に、床材市場について2021年12月〜2022年2月に調査し、リサーチの結果を2022年5月9日に発表した。
2021年度の国内床材市場規模は前年度比0.1%減の4528億円となる見込み
調査結果によれば、2020年度の国内床材(複合フローリング、カーペット、建材畳、塩ビ系床材、フリーアクセスフロア、乾式遮音二重床、床タイル、塗り床材、住宅用床暖房システムの9分野合計)市場規模は、前年度比12.1%減の4534億円と推計した。2020年度の床材市場はコロナ禍の影響により住宅と非住宅の着工件数がともに減小し、それに連動する形で、9分野全ての床材で前年度比マイナスとなった。
また、原油価格の高騰やウッドショックと呼ばれる木材供給不足による価格高騰などが、床材市場、床材の安定した生産・供給体制に大きな影響を及ぼした。分野別にウッドショックの影響をみると、複合フローリングでは、部材となる台板の約7割を輸入品に頼っており、インドネシアやマレーシアが主力輸入先となっている。2021年度は輸入木材の供給不足や価格高騰により、生産調整や価格改定に追われている。
さらに、主にマンション向けの床材である乾式遮音二重床も、主原料となる木質パーティクルボードが供給不足に陥っており、生産・出荷調整などの対応を余儀なくされている状況だ。一方、乾式遮音二重床は近年、非住宅向け建築物用途などの新規用途開拓によって市場を拡大してきたが、営業リソースが製品の出荷調整などに割かれてしまい、新規開拓活動に向けた動きがとりづらい点も市場成長に向けてのマイナス要因となっている。
2021年度の国内床材市場規模は前年度比0.1%減の4528億円となる見込みだ。具体的には、主に住宅向けの床材である複合フローリング、カーペット、乾式遮音二重床、床タイルの市場は、新設住宅着工戸数が回復傾向にあることから、それにけん引される形で市場の回復が予想されている。加えて、用途がオフィス向けに絞られているフリーアクセスフロア市場も、都市部を中心とした再開発案件の増加などにより回復が期待される。
しかし、非住宅向け用途が中心となる塩ビ系床材とほぼ非住宅向けの塗り床材は、店舗や工場向けなどの需要低下から、市場の本格的な回復には時間を要する見通しだ。
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