建機の自動化施工システムの普及と展開を目的とした合弁会社を設立、鹿島建設とNEC:産業動向
鹿島建設は、NECとともに、自動化施工システムの提供や普及、展開を目的とした事業の可能性を検討する合弁会社「KNC Planning」を設立した。KNC Planningは、鹿島建設の自動化施工システム「A4CSEL」を構成する技術と、NECが培ってきた通信インフラ技術やAIを活用したデータ分析技術などを統合することで生まれるシナジー効果によって、施工のDXを促進するソリューションの提供という新たなビジネスモデルの構築を進める。
鹿島建設は、NECとともに、建設業の労働力不足対応や現場の生産性と安全性の向上につながる自動化施工システムの提供、普及、展開を目的とした事業の可能性を検討する合弁会社「KNC Planning」を2022年8月10日に設立した。
「クワッドアクセル(A4CSEL)」の汎用化で生じるコストなどを検討
国内の建設業界では、人手不足だけでなく、他産業に比べて低い現場の生産性と労働安全性が問題となっている。一方、政府が2024年に適用する「働き方改革関連法」に応じるために、現場では生産性のアップが求められている。
そこで、鹿島建設は、NECと共同で、自動化施工システムの提供や普及、展開を目的とした事業の可能性を検討する合弁会社のKNC Planningを設立した。
KNC Planningは、事業準備会社で、現場での実作業の省人化と生産性や安全性の向上を実現するために、鹿島建設が開発した自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル」を核としたソリューションの展開に関する検討を行う。
具体的には、施工計画の高速自動作成や最適化処理技術、計画通りに確実に休むことなく作業を行う建機の自動運転技術、遠隔地から効率良く建機を動作させる遠隔操縦技術といった多様な技術を内包するA4CSELを汎用化し、一般化するために必要な技術の精査やコストの検討など、技術的実現性や経済的有効性を検証する。
その後、多方面への提供を含めて、自動化施工システムを広く普及と展開することを目的に、事業の成立性を検討していく。また、新事業に賛同するパートナーを募り、課題解決に貢献するスキームを早期に整える。
KNC Planningの概要
KNC Planningは、所在地が東京都港区芝五丁目26番24号田町スクエア2階で、従業員数は6人。出資比率は鹿島建設は50%で、NECが50%となり、資本金は4000万円。事業内容は事業化移行後の顧客やパートナー発掘、事業会社化への移行に関する諸準備(事業形態検討・事業計画立案)。
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