鹿島建設が「遠隔集中管制システム」を開発、建機20台の制御と遠隔操作を実現:ICT
鹿島建設は、「遠隔集中管制システム」を用いて、都内の同社本社ビルに設けた集中管制室から、3つの現場に点在する20台の建機を自動運転で稼働させ、遠隔操作による施工を実現した。
鹿島建設は、建設生産システム「A4CSEL※1(クワッドアクセル)」を導入した複数現場の建設機械を一括管制し、多数の現場で自動化施工を同時に実施できる「遠隔集中管制システム」を開発したことを2021年10月26日に発表した。
※1 A4CSEL:鹿島建設が2015年に開発した建設生産システムで、従来のリモコンなどによる建設機械の遠隔操作とは異なり、人間がタブレット端末で複数の建設機械にあらかじめ指示を出すことで、無人で自動運転を行うもの。同社では、振動ローラとブルドーザにA4CSELを適用した他、2015年にダム工事に適用した後、ダムをはじめとする数々の工事に試行導入しつつ、その機能と性能の向上を目指してきた
A4CSELを利用し約1000キロ離れた種子島の建設機械を遠隔で操作
A4CSELの現場適用では、これまで、現場の近傍に専用の管制室を設ける必要があった。そこで、2021年3月には、JAXAとの共同研究で、神奈川県相模原市にある施設「JAXA相模原キャンパス」の宇宙探査実験棟から約1000キロ離れた種子島の建機を遠隔で操作し、相模原キャンパスからの指令で自動運転に切り替えて作業できることを確認した。
上記の実験を基に、鹿島建設は、生産性と安全性を向上する建設生産システムとして、A4CSELが稼働するあらゆる現場で管制機能の一元化を検討し、遠隔集中管制システムの開発に至った。
同社は、遠隔集中管制システムの技術実証実験として、都内の鹿島建設本社ビルに設けた集中管制室から、秋田県の「成瀬ダム堤体打設工事(第1期)」や奈良県の「赤谷3号砂防堰堤(えんてい)工事」、神奈川県の「西湘実験フィールド」で稼働している建機を一括管制し、自動運転と遠隔操作を同時に行うことに成功した。
具体的には、成瀬ダム堤体打設工事では、ダム堤体CSG打設(材料運搬、敷ならし、締固め転圧、仕上げ転圧)で、6台の自動ダンプトラック、3台の自動ブルドーザ、4台の自動振動ローラ、2台の自動仕上げローラを遠隔集中管制システムで遠隔操作した。
赤谷3号砂防堰堤工事では、堰堤背面埋戻し(敷ならし、締固め転圧)で、1台の自動ブルドーザと1台の自動振動ローラをリモートで制御し、西湘実験フィールドでは、自動化施工試験(材料運搬、敷ならし、締固め転圧)で、1台の自動ダンプトラックや1台の自動ブルドーザ、1台の自動振動ローラを遠隔で操縦。
さらに、4人の管制員が遠隔集中管制システムを用いて、上述の自動ダンプトラックや自動仕上げローラ、自動ブルドーザといった20台の自動運転と遠隔操作による施工を実現した。
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