注目の“メタバース”で住宅業界は進化するか?アバター内見など、スウェーデンハウスらが示す未来像:不動産テック(1/3 ページ)
コロナ禍では、あらゆる業種で、オンライン関連サービスの普及が進んでいる。「リアルからバーチャルへ」という社会状況の変化に、住宅業界はどこを目指して進めばよいのか。スウェーデンハウス、野原ホールディングス、homieの3社が、Web戦略のいまと、メタバースの利用も視野に入れた未来像を語った。
2019年末に始まったコロナ禍で、人と人のリアルの場での接点は、大きく制限されることになった。代わりに、オンライン会議やVRを用いた遠隔業務など、Webを介したヴァーチャル空間でのビジネスが、さまざまな業種で当たり前になりつつある。
急速に進むビジネスシーンの変化に、住宅業界はどう向き合っていけばいいのか?その答えを探るプレスセミナーが、2022年4月に開催された。セミナータイトルは「コロナ禍で普及した住宅業界のオンライン関連サービスの今後」。主催者は、スウェーデンハウス、野原ホールディングス、homieの3社だ。
住宅業界の未来を照らす3社が集ったセミナー
スウェーデンハウスは、北欧の洗練されたデザインと、「100年住み継いでいく家」をコンセプトにするハウスメーカー。「オリコン顧客満足度調査 ハウスメーカー 注文住宅」において、8年連続で総合1位を受賞するなど、長年ユーザーから高い評価を受け続けている。
野原ホールディングスは、「デジタルの力で建設産業をアップデート」をミッションに掲げる建材総合商社。2017年12月には、世界有数のBIMデータプラットフォームを運営するスウェーデンのBIMobjectと共同で、建材設備のデジタルデータをWebプラットフォーム上で提供する「BIMobject Japan」をスタート。2021年12月に開催された「第1回 建設DX展(東京ビッグサイト 西展示棟)」では、BIMによる設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を発表するなど、建設プロセス全体を圧倒的に効率化するという課題に取り組んでいる。
homieは、不動産営業のDXをターゲットにしたITベンチャー。同社のAIを活用した反響対応コンシェルジュサービス「HOTLEAD(ホットリード)」は、2020年6月に提供を開始し、2022年4月現在で、全国45都道府県に50社、450店舗を超える企業が利用。その数は増え続けている。
VR展示場機能をアップデート、6月から全国のモデルハウスでアバターが接客
2021年4月、スウェーデンハウスと野原ホールディングスは共同開発した室内360度バーチャル内覧サービス「VRモデルハウスウォークスルー(以下、VRウォークスルー)」の提供を開始した。住宅購入検討者ならば誰でも、全国のスウェーデンハウスのモデルハウスをバーチャルで内見できるWebサービスで、世界で初めて3Dキャラクター(アバター)が接客する機能を搭載している。
今回のプレスセミナーでは、提供から1年たって新たに実装された、AIによる「音声案内機能」と「コンシェルジュ機能」を紹介。両機能の実装をサポートしたのが、HOTLEADでコンシェルジュサービスのノウハウをもつhomieだ。
音声案内機能は、設計のポイントや建物の性能など、モデルハウス所属のコンサルタントが現地で話している内容を、AIによる音声で案内するサービス。これにより利用者は、現実のモデルハウス訪問時と同様に、自然なシチュエーションで知りたい情報を得られる。
もし、AIが回答できない内容であれば、その分はコンシェルジュ機能が担う。「コンシェルジュに相談」ボタンを押し、フォーマット上に必要事項を登録すると、数分以内に実在のコンシェルジュが電話対応する。利用者が希望すれば、実際のモデルハウスの見学予約も可能だ。利用者がコンシェルジュに伝えた興味や関心などの情報は、リアルのモデルハウスに所属するホームコンサルタントに共有されるため、現地見学をストレスなく進められる。
VRウォークスルーの新サービスは、2022年5月16日より、千葉ニュータウン・明石・大分のモデルハウスで提供を開始する。同年6月末には、全国のモデルハウスで利用可能にする予定だ。
VRウォークスルーを機能強化し、仮想空間でのサービスに力を入れるスウェーデンハウス。近い将来、「メタバース(コンピュータ上につくられた3次元の仮想空間)」をはじめとする仮想空間の利用が拡大すると見込む。
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