球体ドローン「ELIOS 3」と「リアルタイム映像伝送/統合管理ソリューション」に込めたブルーイノベーションの戦略、熊田社長に聞く:Japan Drone2022(2/2 ページ)
Japan Drone2022の会期中、ブルーイノベーションによる球体ドローン「ELIOS」の新機体発表と、セーフィーと共創する新サービス「リアルタイム映像伝送/統合管理ソリューション」のデモからは、人的リソースにフォーカスしたサービスでインフラを整備し、社会課題解決を目指す次の一手がうかがえた。
複数デバイスからの映像の一元管理で、業務をアップデート
もう一方のデモは、ブルーイノベーションと、クラウド録画サービスでトップシェアを誇るセーフィーが業務提携して実証運用を目指す新サービス「リアルタイム映像伝送/統合管理ソリューション」について。ブルーイノベーション 取締役常務執行役員 COO 那須隆志氏は、新サービスのコンセプトを「ドローン、ロボット、カメラの映像をワンプラットフォームで提供する」と説明した。
デモに登壇し、新サービスを紹介したブルーイノベーション 取締役常務執行役員 COO 那須隆志氏(右)と、セーフィー 第2ビジネスユニットプロダクト部 坂元宏範氏(中)、マーケティング本部 アライアンス戦略室 テックパートナー戦略グループ 林俊伸氏(左)
新サービスは、BEPとクラウド録画サービス「セーフィー」とをAPI連携させ、BEPで制御するドローンやロボットなどの各種デバイスで取得した映像データと、セーフィーが管理するウェアラブルカメラや定点カメラからの映像データとをクラウド上で共有し、リアルタイムに一元管理する。多種多様な映像データをクラウドで一元的に管理することで、業務の効率化や省力化・自動化につながることが期待される。
さらには、ドローンやロボットが入れない場所の映像をウェアラブルカメラや定点カメラで取得したり、逆に定点カメラでは死角になるところをドローンで撮影することによる「業務対象範囲の拡大」、撮影対象や業務に合わせた撮影デバイスを選択することによる「業務最適化」といった効果も見込まれる。
那須氏は、「複数のデバイスの映像を一元管理することで点検現場だけでなく、災害現場、ドローンの飛行状況を定点カメラで見守りながら飛行訓練中のパイロットを遠隔サポートするといった教育現場でも活用できる」と意気込みを語った。
一方、セーフィー 第2ビジネスユニットプロダクト部 坂元宏範氏は、セーフィーのサービスを既に導入している建築・土木・インフラの関係事業者からは、ドローン対応への要望が強いとしたうえで、「今回の業務提携でそういった声にも応えられる」と自信を示した。
インフラ整備のその先に見据えるビジョン
ブルーイノベーションのブースでは、ほかにも、トヨタ自動車が開発中のドローンポートで荷物を受け渡す実演、ゆるみのある送電線やケーブルをドローンで自動点検する「BEPライン」、掃除ロボット「ルンバ」を10台以上遠隔で管理するオフィス向けロボット掃除ソリューション「BEPクリーン」などの説明パネルが展示されていた。
ブルーイノベーション 代表取締役社長 CEO 熊田氏は、デモンストレーション後の単独インタビューに応え、これからの時代に描く未来像について語った。
これまでの歩みに関しては、「日本社会はいま、地球温暖化による自然災害の増加、社会インフラの老朽化などのさまざまな課題に直面する一方で、それに逆行した形で人のリソースが減っている。従来のやり方では社会インフラが破綻するという強い危機意識を持ち、私たちは“人的リソース”にフォーカスして、ドローンやロボティクスで代替する方法を探ってきた」と説明。
また、国が進めるデジタル田園都市構想にも触れ、「今後は、地域の中で自立することがキーワードになるだろう。地域での自立型社会実現のためには、新しい社会インフラの整備と同時に、テクノロジーやルール、人材教育のアップデートが必要で、その部分でも貢献していきたい」と展望を口にした。
特に注力しているのは、「教育」「点検」「物流」「オフィス」の4領域と強調し、「これまではBEPを活用しながら、4領域の課題を解決するアプリなどのソリューションパッケージを提供してきた。今後は、そうしたインフラ整備ソリューションだけでなく、運用という部分にも力を入れていく。当社が設立した日本UAS産業振興協議会(JUIDA)のスクールと連携し、ドローンを飛ばすだけでなく、運用までのサポートなどを実現したい」と将来ビジョンを示した。
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