国交省が河川橋梁の緊急調査結果「53カ所で計画的措置が必要」
国土交通省は、豪雨災害により河川に架かる鉄道橋梁の傾斜や流失などの被害が発生していることから、JR各社に緊急調査を依頼し調査結果を公表した。そのうち53箇所は計画的措置が必要であることが判明した。
国土交通省は、激甚化・頻発化する豪雨災害により河川に架かる鉄道橋梁の傾斜や流失などの被害が発生していることから、JR各社に河川橋梁(472カ所)の緊急調査を依頼し7月19日に調査結果を公表した。そのうち53カ所については計画的な措置が必要であることが判明した。
緊急調査の対象となる橋梁は、河川橋梁の橋脚・橋台の構造条件(直接基礎、根入れ長など)、立地条件などに加え、いくつかの条件に該当する橋梁を選定した。緊急調査の結果、緊急に措置が必要となる健全度「AA」の橋梁がないことを確認した。また、計画的な措置が必要となる健全度「A」の橋梁が53カ所あることが判明した。
国は調査結果を受け、健全度「A」と判定された橋梁(53カ所)について、全てを「監視」対象とし、高頻度の目視や洗掘調査の実施など、通常よりも監視を強化すること、「監視」により変状の進行を認めたときには直ちに安全を確保するため、「補修・補強」を含めた必要な措置を実施すること、緊急調査により「補修・補強」が適当と判断された橋梁(28カ所)については、対策の実施時期を可能な限り前倒しすることを追加で依頼した。
河川橋梁が流失するとその復旧に膨大な時間と莫大な費用がかかり、地域や利用者に甚大な影響を及ぼすため、事前の対策を徹底し流失を防止することが重要となる。JR各社は法令に基づき定期的に橋梁を検査しその結果に応じた措置を講じている。
国土交通省では橋脚の洗掘対策に万全を期すため、JR各社が実施している措置のさらなる前倒しなどを追加で依頼したが、引き続きJR各社と協力し鉄道輸送の安全の確保を図っていく。
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