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進むインフラ老朽化、“達人頼み”を補う技術が続々登場法制度・規制(1/3 ページ)

日本の道路や橋梁、トンネルなど、インフラの老朽化が加速している。いまだに多くを人手によって点検・整備・補修しているこの領域だが、労働人口減少により現在の手法では対応が難しくなり、先進技術の活用に注目が集まっている。2015年7月22〜24日に東京ビッグサイトで開催された「インフラ検査・維持管理展」での出展内容を紹介する。

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 2015年7月22〜24日に東京ビッグサイトで開催された「インフラ検査・維持管理展」は、道路や橋梁、トンネルなどの社会インフラの検査と維持管理を対象にした展示会である。

 インフラの老朽化に伴い検査、維持、補修などが必要な道路や橋梁、トンネルなどは増加している。国土交通省によると、全国約70万橋の橋梁のうち、7割以上となる約50万橋が市町村道にあり、建設後50年を経過した橋梁(2m以上)の割合が2023年までに43%に増加するという(図1)。

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図1:道路種別橋梁数と50年経過橋梁数の推移 出典:国土交通省

 さらに地方公共団体管理橋梁では、2008年から2013年の5年間で、老朽化により通行規制が行われているものが、2倍以上に増加しているとされ、今後老朽化により使用が難しくなる橋梁などのインフラ設備がさらに増える見込みだ(図2)。

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図2:地方公共団体管理橋梁の通行規制などの推移(2m以上) 出典:国土交通省

5年に1度の近接目視による点検義務化

 これらのインフラ老朽化による被害を象徴する事故として政府の対策を推し進めるきっかけとなったのが、2012年12月に発生した山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故である。同事故はトンネル内の天井のコンクリート板が老朽化により約130メートルにわたって落下し走行中の自動車が巻き込まれた事故だ。同事故により道路インフラの老朽化が大きな注目を集め、同時にトンネルの緊急点検などが実施された。さらに2014年7月からは「5年に1回の近接目視による点検」が義務化されることになり、道路インフラの老朽化による事故を未然に防ぐ仕組み作りが進んでいる。

 しかし、現実的にはこれらの点検や補修業務を地方なども含めて、継続的に実施していくのは難しさが予測されている。土木技術者の数が限られている他、労働人口の減少などもあり、近接目視など高まる業務負荷に対応し続けることが難しいことが予想されるからだ。実際に点検義務化以前の調査結果では、町の約5割、村の約7割で橋梁保全業務に携わっている土木技術者を持たない地方公共団体が存在しており、橋梁点検方法としては遠望目視のみとしていた点検も約8割を占めていた(図3)。

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図3:地方公共団体における所属する土木技術者の数(左図)と橋梁の点検方法(右図) 出典:国土交通省

 これらの点検作業などの業務付加の増加と、労働人口の減少を、先進技術を活用することで補おうという動きが高まっており、これらに対応する技術に注目が集まってきているというわけだ。「インフラ検査・維持管理展」では、実際に義務化された道路の点検作業の付加を軽減するさまざまな技術が出展された。

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