矢野経済研究所が住宅リフォーム市場に関する調査を実施:産業動向
矢野経済研究所は、2022年4月〜2022年6月、住宅リフォーム関連事業者などを対象に国内住宅リフォーム市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。2021年の住宅リフォーム市場規模は前年比5.7%増の6.9兆円、2022年は6.5兆円と予測した。
矢野経済研究所は、2022年4〜6月に、住宅リフォーム関連事業者などを対象に国内住宅リフォーム市場を調査し、現況、参入企業の動向、および 将来展望を明らかにした。
2021年の住宅リフォーム市場規模は、前年比で5.7%増となる6兆9034億円と推計した。分野別では、「増改築に関わる費用」(10m2超+10m2以下増改築工事)が前年比2.2%減、「設備修繕・維持管理費」が同8.6%増、またステイホームやテレワークによって需要が急拡大した「家具・インテリア等」は、需要が落ち着き同8.3%減となった。
2021年は、新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が続く中、一部でマイナス影響があったが、在宅時間が長くなったことで住空間への関心が高まるなど、プラス影響を大きく受けてか、増加で推移した。
しかし、2022年の住宅リフォーム市場規模は前年比5.5%減の6.5兆円、2023年は同0.7%増の6.6兆円と予測する。
現在、建築資材の高騰による各種資材メーカーの値上げ発表を受け、リフォーム事業者は自社で吸収できない分の価格転嫁を進めている。工事費の上昇は、受注すれば市場規模拡大に寄与するが、消費者から敬遠されると市場規模鈍化につながる。同社によれば、一部では、既に工事計画を延期・中止するケースなども見られるという。2022年は、レジャー需要などの回復や物価高騰による家計支出全体の縮小、それに伴う不要不急の支出減少も加わり、市場縮小は避けられないという。
また、2023年は、団塊ジュニア世代がリフォーム適齢期に突入するなど、リフォームのトレンドは高まる傾向だが、世帯数がピークアウトし始め、成長が鈍化していくものと同社は予測する。
今回の結果より、リフォーム事業者は、これまで以上にリフォームによる「生活の豊かさ」「快適性の向上」などのメリットを訴求し、国や自治体が行う補助施策や各社が持つ金融サービスなどを踏まえた価格訴求提案を行い、リフォーム需要を喚起する必要があると同社は解説する。
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