舗装を開削せず路面から脆弱化した深層部を補修する技術の開発に着手、NEXCO中日本:導入事例
NEXCO中日本は、コンクリートコーリングや東亜道路工業と共同で、舗装を開削することなく路面から深層部の脆弱化した部分を補修する技術の開発を進めている。
NEXCO中日本は、コンクリートコーリングや東亜道路工業と共同で、舗装を開削することなく路面から深層部の脆弱化した部分を補修する技術を開発することを2022年5月25日に発表した。
2023年度末までに開発を完了する予定
高速道路の舗装は通常、表層、基層、上層路盤、下層路盤の4層で構成されており、従来舗装の損傷は、主に表層と基層で発生し、損傷部分の舗装を打ち替えることで補修を行ってきた。
しかし、近年、舗装の深層部(上層路盤・下層路盤)における損傷が増加傾向にあり、今後も続くと推察されている。深層部の損傷に関しては、高速道路総合技術研究所の調査・分析で、交通荷重や舗装の支持力低下、水の浸入といった事象が関係する他、路盤に疲労ひび割れが生じ、そこに水が浸入することで路盤の土砂化や永久変形が発生することも判明してきた。
上記の土砂化や永久変形の発生で脆弱化した深層部を含めて舗装を補修するには、上層部(表層・基層)を含めて打ち替える必要があるため、工事に要する車線規制時間が長く、コストも大きくなってしまうという課題があった。
そこで、NEXCO中日本は、舗装を開削することなく路面から脆弱化した部分を補修する技術を開発する必要があると考え、2021年11月から「深層改良による舗装補修工法の開発に関する技術公募」を行った。その結果、コンクリートコーリングと東亜道路工業とともに舗装を開削することなく路面から脆弱化した部分を補修する技術の開発に着手することにした。
新技術は、路面から注入用の機具を脆弱化した深層部まで差し込み、セメント系やアスファルト系の材料を注入することで、予防保全として舗装の損傷範囲が拡大する前に補修する。
新技術の開発に成功した場合、脆弱化した深層部のみを補修対象とすることが可能となるため、補修に伴う車線規制時間とコストの削減が期待される。また、当面は部分的な損傷への補修を適用対象として、2023年度末までに開発を完了する予定だ。
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